6月2日に「ロピア ヨドバシ博多店」をオープンさせ、九州初出店を果たしたスーパーマーケットチェーン「ロピア」。今夏には東北初出店も決まっており、現在75店舗(2023年6月現在)ながら台湾にも出店済みで、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで出店を続けている。流通ウォッチャーの渡辺広明氏が店舗に出向き、ロピアの強さを解き明かした。

ロピアはコストダウンを徹底するために現金決済を徹底している
ロピアはコストダウンを徹底するために現金決済を徹底している

 ロピアはもともと「肉の宝屋」という精肉店で1971年、神奈川県で創業。肉に強いことはもちろんだが、ロープライスのユートピアを作ることを目標に掲げているEDLP(Everyday Low Price)系スーパーとして知られている。

「これまでは新聞の折り込みチラシで特売品の安さをアピールしてお客様の来店を促し、買い物をしてもらうというのがスーパーのセオリーでした。ところが共働き世帯の増加で特売品を買い回るようなライフスタイルが現実的でなくなった。EDLPという考え方は米ウォルマートが1980年代から採用しており、日本でも西友やダイエーが取り組んできましたが、新聞の定期購読者数も下がっているここ10年で、各社ともにEDLP戦略を強化しています」(渡辺広明氏)

EDLPで成功している「オーケー」
EDLPで成功している「オーケー」

 その成功例として真っ先に挙げられるのが、日本版顧客満足度指数調査において12年連続1位に輝いているディスカウントスーパー「オーケー」(神奈川県横浜市、約140店舗)だ。安いだけでなく高品質をうたい、青果部門で「甘みが不足しています」「相場が高騰しております」などと掲示されるオネスト(正直)カードは主婦から高い評価を受けている。

「EDLPを実現するためには人件費も含めコストをできる限り低くするしかない。陳列ひとつにしても段ボール箱から取り出さずにそのまま店頭に並べるチェーンもあれば、ロピアのように現金決済のみのところもある。個人的にはロピアもキャッシュレス決済の波には逆らえず、いつか方針が変わると見ているが、ロピアはそんなデメリットを超えて主婦を魅了しています」

 一般的に主婦が重視するのは青果、精肉、鮮魚の生鮮三品だ。今回、渡辺氏と視察したロピア「港北東急SC店」と「ノースポート・モール店」でも、生鮮三品の売り場が大きく、買い物客がごった返すほどの盛況ぶり。豊富な品揃えと安さに魅せられた記者も気づけば茨城県産エシャレット109円、ズッキーニ109円をカゴに入れていた。

「ロピアは店長が店舗全体を統括するのではなく、各売り場に『八百物屋あづま』『肉のロピア』『日本橋 魚萬』と屋号がついており、現場責任者であるチーフが買い付けから陳列、価格設定まで行っているのが特徴です。裁量があるから社員もイキイキと働いているように見えますね!」

天井に所狭しと並べられた販促ポエム(店外から撮影)
天井に所狭しと並べられた販促ポエム(店外から撮影)

 鮮魚コーナーに響く「ハイ安いヨ、安いヨ」というしゃがれ声もどこか懐かしい。EDLPは値札やラベルなども簡素にしがちだが、「本日限定価格」「塩茹が最高!」「脂のってます」など商品に応じたひと言を添えて訴求を働きかけている。また、天井には相田みつをを想起させる筆文字で「同じ商品ならより安く同じ価格ならより良いものを」「人は食べてる時笑顔になる だからこの商売好きなんだよ」とポジティブすぎる販促ポエムが多数つり下げられている。

 精肉売り場にはアンガス牛からロピアオリジナルの「みなもと牛」までステーキ用の肉がズラリ。100グラム当たり200~300円の牛肉まであるから驚きだし、大容量パックならさらに安い。記者も100グラム118円の国産若鶏せせりと若鶏スペアリブを衝動買いした。

記者が思わず購入したせせり
記者が思わず購入したせせり

「OICグループ(旧ロピアHD)は『スーパーバリュー』に続いて、テレビ取材でおなじみのスーパー『アキダイ』も買収しました。既に総菜製造会社、鶏肉の加工販売会社も傘下に入れるなど事業の多角化も進めている。高木勇輔社長が掲げる2031年までにグループ売上高2兆円はかなり高いハードルでしょうが、破竹の勢いがあることは確か。原材料高でメーカーの値引き原資が少なくなり、スーパーでは特売そのものが減っているのが現在。簡単に言うと、ロピアは現金しか使えないというデメリットを上回る魅力があり、追い風も吹いているという状況です」

ロピアオリジナル商品も人気が高い
ロピアオリジナル商品も人気が高い

 2店舗をめぐった記者も「自社製薫煙荒挽ウインナー」(298円)や人気の冷凍食品「スパイス香るチキンビリヤニ」(555円)など総額5000円以上を購入、満足な買い物をして舌鼓を打ったのだった。