狂犬病の予防接種会場で奮闘する犬と飼い主の動画で人気を博している富山県の映像制作会社が「とやまソフトセンター」だ。個性あふれる犬たちの反応で一躍有名になったユーチューブチャンネルについて、前編ではチャンネル発足のきっかけや複雑な思いを聞いた。
インタビュー後編では実際の撮影方法や動画内に頻出する〝柴犬〟の魅力、そして動画の持つ意味についてもじっくり取材。最後には制作担当者が強く感じているという視聴者への感謝について語ってもらった。
――普段撮影はどのように行っているのですか
担当 基本は1人ですね。大きな会場での集団接種は、土日で行われることが多いので、各地に1人ずつカメラマンを派遣している形です。
――複数人で撮影されているのだと思っていました
担当 1人で交渉して、1人で撮影して、1人でインタビューもして…ということで、ワンオペで回しています。
――撮影は犬を飼っている方が担当されているのですか
担当 そこはまちまちです。飼っている人間もいれば飼っていない人間もいますし、犬についての知識量も人によりますね。
――動画では柴犬が多く登場していますが、狙って撮影している?
担当 前提として柴犬は日本でかなり多く飼われている犬種なので、会場で会う頻度が高いということはあります。それに加えて、柴犬は〝何かやらかしてくれる〟といいますか…。会場に着いた段階で嫌な素振りを見せてくれますので、どうしてもカメラマンは狙ってしまいます。
――犬がやってきた時点で、〝やらかしそう〟と分かるものですか?
担当 慣れると分かります(笑い)。あとは超小型犬は飼い主さんに抱かれて来るので、そうなるとあまり抵抗できないんです。その点リードで連れて来られた中型犬・大型犬ははっきり何を感じているかが分かりますね。
――多くの犬を撮影した中で、印象に残っている犬は
担当 1作目の動画で、おばあちゃんが柴犬と思われるワンちゃんを引っ張ってくる場面がありまして。犬は一生懸命反対方向を向いて踏ん張っているんですけど、おばあちゃんは意に介さず引っ張っていて。その動画は2013年に撮影したものですが、その時の映像が頭から離れなかったんです。その記憶があって予防接種の映像をかき集めようと考えましたから。
――制作側からしても出発点のような存在なのですね
担当 犬も面白いし人も面白いというのがいいですよね。ですからその後は犬だけでなく飼い主さんも意識して撮影するようになりました。
――チャンネルでは予防接種が義務であることも紹介されています。動画を投稿した当初は嫌がる姿に対するクレームがあったのでしょうか?
担当 当初かわいそうという声は多少はありました。ですが法律で決められていることですし、飼い主に予防接種をする責任があるということを理解してもらうことは大切だと考えて、動画でもその点は明記していました。もともと理解していただいている方は多いと思いますが、最近は非難するコメントを見ることは本当に少なくなりましたね。
――その意味では、当初の予防接種を周知させるという目的が果たされつつあるわけですね
担当 そうですね、かわいそうと感じる以前に責任を果たすことの大切さが、少なくとも視聴者の方にはご理解いただけているのだと思います。
――予防接種動画以外に注目してほしいコンテンツはありますか
担当 こうして認知されているわけですから、ペットに関する有益な情報や、ペット全般の情報を広く紹介したいなという気持ちはあるのですが…。他の日々の仕事が忙しくて手が回っていないというのが現状です。それでも秋田犬保存会のコンテストで1位を取ったワンちゃんが富山県にいるので紹介したり、嘱託警察犬の審査会の様子を撮影したり、いろいろやっていこうとは考えています。
――〝とやま〟ソフトセンターということで、富山県のアピールをしたい思いもあるのでは?
担当 確かに普段は放送局等のクライアントに向けて動画を制作していますから、富山県内のニュースや出来事についての動画もサブチャンネルでは投稿しています。もちろんそちらも見ていただきたい思いはありますが、予防接種動画のように何十万回と再生してもらえるかというと…(苦笑)。見ていただきたいのはやまやまですが、積極的にPRしようという気持ちではないんです。むしろ普段はこういう動画を作っている会社なんだということだけでも理解していただければ、それだけでうれしいです。
――最後に視聴者の方にメッセージを
担当 視聴者の皆さんには感謝しかないです。我々は
制作会社ですから、作成した動画は基本テレビ局等を通じて放送されます。ですからいいものを作った手ごたえがあっても、直接こちらに感想が届くことはなくて。それがユーチューブではたくさんの高評価やコメントを直接お寄せいただいているので、日々の原動力になっています。今後も皆さんの声に、希望に沿った番組を作っていきたいです。
【とやまソフトセンター】2000年に創業した、富山市に本社を置く映像制作会社。ケーブルテレビ局に向けた動画制作・映像提供を主な業務とする中で、2021年にユーチューブに投稿した狂犬病の予防接種会場を紹介する動画が大ヒット。以降も富山県内の接種会場で繰り広げられる犬と飼い主たちのドタバタ劇を撮影・投稿し、根強い人気を誇っている。
ユーチューブチャンネルは【http://www.youtube.com/@t-soft-center】。

















