【銀の盾に聞いてみた】ニッチな動画や特定のジャンルで登録者数10万超のユーチューバーや運営者をインタビューする企画。第3弾では「長崎バイオパーク」だ。
他の有名な動物園を差し置いて、日本トップクラスのSNS登録者数を誇る動物園は、ユーチューブの登録者数も50万人を突破している。今回は撮影を担当している神近公孝氏に、ユーチューブを始めた経緯から〝バズるための戦略〟まで、じっくり話を聞いた。
――まずは動物園の特徴を教えてください
神近 動物が自由に暮らしていてふれあいができるというところが特徴になってくると思います。キツネザルっていうワシントン条約ではパンダと同じレベルの保護動物も、うちでは放し飼いになってるんですよ。自由なぶん、人間に興味を持った時だけ動物が寄ってくる、そんな動物園ですね。日本ではトップクラスに動物との距離が近いという自負があります。
――ユーチューブを始めたきっかけはなんですか
神近 何でも始められる動物園だったので、ユーチューブも気軽に2007年に始めたんです。タイミングはヒカキンさんとほぼ変わらないですね。ただその頃は「こんなイベントをやっています」みたいなお知らせのためだけに使っていました。
――いつから今のような動画スタイルに?
神近 転機は〝ネタツイート〟の流行です。公式アカウントが投稿するネタツイートがはやってて、それにチャレンジしたのがきっかけで、ツイッター(現「X」)がバズり始めまして。
――元々挑戦しやすい土壌があったんですね
神近 加えてカバがスイカを食べる動画の存在も大きかったんですよ。投稿してから1~2年間で300万回再生されまして。それでこんなにバズるんだと思って、単なるお知らせではなく映像コンテンツとして作っていこうとなりました。
――動画の影響は大きかったのですか
神近 一気に伸び始めたのはコロナ禍中で、巣ごもり需要をきっかけに全部のSNSが伸びまして。動物園への影響は大きかったですね。コロナ2年目にはわずかながら黒字になりましたし、コロナ3年目の去年は過去20年で最高の売り上げを達成しました。SNSの収益もわずかながらあるので、動物の環境をより良くしようと考える余裕も出てきたかなと思います。
――視聴者が多く来場されたということでしょうか
神近 そうですね、動画を見て来られる方は本当に多いです。そもそも動物園って1日でファンになってもらうのは難しいんですよ。2回、3回来ているうちにだんだん好きになっていく、みたいに〝ロングスパン〟でないとファンを獲得できなかったんです。
――新規ファンの獲得は難しいのですね
神近 けれど今は来園される前からファンなので、そこがかなり大きいですね。動物園では珍しく、お客さんが動物にもスタッフにも差し入れを持ってきてくださるんです。夏の暑い時期は飲み物が届いたり、スタッフがライブ中にのどの調子が悪いとはちみつが届いたり。本当にファンとの距離がすごく近くなったなと感じています。
――投稿して手ごたえを感じた動画はありますか
神近 はっきりとしたターニングポイントはありませんが、2年前くらいからスタッフを出して、リアクションを取るという方針にしまして。そこからちょっとずつ伸びていった実感はありますね。
――裏側を見せたということですか
神近 それこそスタッフだけでも注目されているというか。カピバラの池掃除の動画なんて、人間の邪魔になっちゃうからカピバラは出てこなくなるのに、それでも再生していただいている。ちょっとずつ動物以外にも注目していただけるようになってきたのかなとは思いますね。
――もう動物だけの人気ではないと
神近 そして一番うれしい手ごたえは、那須どうぶつ王国さんとコラボして、ツシマヤマネコの保護活動を取り上げた動画の再生回数がかなり良かったことですね。こういう真面目な動画は、今まで全然見てもらえなかったんですよ。我々が動物を飼育する中で本当に伝えたいことに、皆さんが注目してくれるようになった実感は間違いなくありましたね。日々の視聴者の方とのコミュニケーションや、楽しんでいただくための努力が実を結んだのだと思います。
※後編ではオススメしたい動物や外国人ファンの反応についても話を聞きます。
【長崎バイオパーク】1980年に開演した長崎県西海市の動物園。約200種の動物が飼育され、多くの動物とふれあえる〝距離の近さ〟で人気を集める。ユーチューブやSNSでも精力的に発信し、ユーチューブでは50万人超、TikTokでは190万人以上の登録者数を誇る。
ユーチューブチャンネルは【https://www.youtube.com/@biopark】。















