健康に気を付けているのになんだか元気が出ない。病院を受診しても原因が分からない場合は栄養素のバランスに問題が起きている可能性があるという。体を活気づける意外な栄養素を「60代からの最高の体調」(アスコム)の著者でマイシティクリニック院長・平澤精一医師に教えてもらおう。

 ――元気が出ないのはホルモンが関係しているとか

 平澤医師(以下平澤)性ホルモンはコレステロールを原料としてつくられるのですが、健康を意識しすぎるあまりにコレステロールの値が低くなりすぎてしまう人がいます。そうすると、男性ホルモンや女性ホルモンも減ってしまい、体力・気力・認知能力が低下して、活動的な生活ができなくなるのです。

 ――コレステロールは取りすぎると良くないものという認識があります

 平澤 健康常識の裏返しみたいなところがあり、一時期はコレステロールが悪者だという風潮がありました。コレステロールは動脈硬化を引き起こすから下げた方がいい、心筋梗塞や脳梗塞の予防のためには下げておきましょうと呼びかけすぎたのです。しかし、コレステロールの値が160を切ってしまうと今度は性ホルモンがうまくつくられません。

 ――コレステロール値を維持する方法を教えてください

 平澤 基本的に一定のコレステロール値を維持するには良質なタンパク質が必要です。赤身の肉やヒレ肉などの動物性のタンパク質や、大豆食品など植物性のタンパク質を取ると良いでしょう。そういったタンパク質を取ると同時に亜鉛や鉄、ミネラルも補給できるのですが植物性のタンパク質だと動物性のタンパク質より含有量が少ないので、植物性のものだけでコレステロール値を維持しようとすると亜鉛や鉄などの栄養素が不足してきます。年を取ると肉類をあまり取らないようになる傾向がありますが、なるべく赤身の肉を含めたものを取るのがオススメです。

 ――原因がはっきりしない体の不調はどうしたらよいでしょうか

 平澤 例えば内科を受診して特に臓器の異常が見つからない場合は、栄養素やホルモンの異常が原因になっていることが多いんです。その場合は、血液検査の結果を持って、サプリメントの外来を行っている医師に相談するのが良いでしょう。そこで不足している検査があれば追加で調べることがあるかもしれません。多くの場合、健康診断のデータを見るとビタミンBや亜鉛が足りないとか、コレステロールが低下しているからホルモンも低下しているかもしれないといった体の状態が分かります。

 ――コロナ禍では男性ホルモンがつくられにくい環境になっているとか

 平澤 食生活では十分コレステロールを取っているけれどなかなか元気が出ないという人もいます。実は男性ホルモンは社会性ホルモンとも言われており、人との接触等でつくられるものでもあります。コロナ禍では在宅ワークなどで人との接触が減ったことによって男性ホルモンが低下している例が非常に多くなっているのです。

 ☆ひらさわ・せいいち 日本医科大学卒業。1992年に「マイシティクリニック」を開業。健康寿命に深くかかわる「テストステロン」の研究者として熟年期障害の治療や高齢者の健康を守る取り組みを数多く実践。