手作りを前面に出さないと、お客さんは帰ってこない。「元祖台湾カレー」犬山店の元店長とオーナーにミンチの炊き方を指導してもらい、最初はこんな大変なことは無理だと思った。人件費を抑えるため俺の休みは週1回にして、2020年4月1日に設定した犬山店のリニューアルオープンに備えた。

 それが新型コロナの緊急事態宣言でオープンできない。家賃、電気、ガス代は発生しているし、何もせずにつぶれてしまうのか…。5月のゴールデンウイーク明けに解除されるということだったけど、俺は連休に合わせてオープンさせないとダメだと思った。店を開けたらダメという決まりはない。スタッフに反対されても「来れないなら俺1人でもやるわ!」と言って、しぶしぶ了解してもらった。

 SNSだけで告知し、4月30日にオープン。派手な花輪も豪華な胡蝶蘭もナシ。知り合いにも声はかけなかった。新型コロナ禍にあって付き合いで来てくれて、万が一のことがあったら大変だもんね。そのほうがやりやすかったし、これがバカ当たりだった。自粛中、行くところがない時に開けたもんだから、みんな来てくれて連日大行列、大盛況。もし5月6日オープンだったら、こんなことにはなっていなかっただろう。

 それからテレビの取材を受けたら反響がエグかった。次の日の昼営業が11時半から14時半なのに終わったら17時。お客さんの列が切れない。かといって出すカレーはあったし、ご飯を炊きながらやった。昼だけで売り上げ18万円! それで夜営業がまた18時からだから大変だった。今後の展望は…あと2、3店舗増やしたい。今はまだ1つを一生懸命やることで精一杯だけどね。

 オープンして丸2年。儲かっても人件費とか材料費で手元には大して残らない。仕入れたものもお客さんが来るとすぐなくなるし、来ないと余るし、その計算も大変。材料費だって新型コロナの影響が深刻だし、かといって簡単に値上げもできないから。

 この先、アマチュア野球の指導者の話があったら…そうしたら店を会社にして、業務を従業員に任せる。臨時コーチとして週1回くらいならまだしも、店に出ながら教えるのは無理だから。今だって店の前の駐車場で知り合いの子供を見てあげることはあるけど、プロは…もう俺の時代は終わりです。悔いはないし、思い残すこともない。やりきった。話がきたら聞くかもしれないけど、自分からという気持ちはないね。

 野球があったから今でもこうしてお客さんが来てくれるし、今まで培ったものがあるからいろんな話ができる。山本昌とか野球の関係者も来てくれる。今は「マメさん、また行きますよ」と言ってくれても「いや、来なくていいよ」って。このご時世、万が一があったらイヤだし、何もなくなったら来てほしい。そこまで選手に頼らなくてもいいよ! =終わり=