最後まで走り抜いた。スピードスケート女子で平昌五輪2冠の高木菜那(29)が5日、都内で会見を行い、現役引退を表明。〝集大成〟の覚悟で挑んだ今季を振り返った。
2018年平昌五輪で女子日本勢初で夏冬通じて初となる2冠を達成。大きな期待を背負って臨んだ2月の北京五輪では、団体追い抜き(パシュート)とマススタートで転倒し、連覇を逃した。「五輪やスケート人生に未練がないわけではない。北京五輪で目標の結果に届かず、引退か現役続行か悩んだ」と複雑な心境を口にしながらも、引退を決断した2つの理由を明かした。
「1つ目は第2の人生を考えた時にすごくワクワクした。スケートと同じぐらいやりがいのあることを見つけたいと心から思えた。2つ目は思い描いたレースができたこと。高木美帆の姉ではなく、高木菜那として戦えたことが引退を決意した理由です」
妹の高木美帆(日体大職)は、2010年バンクーバー五輪に天才中学生として出場。「1番妹とのことで、自分の中で葛藤があったのは高校時代」。姉としてのプライドから嫉妬を抱いたのは、1度や2度ではない。悔しさを力に変えてきた一方で、平昌五輪後には自身の甘えにも気がついた。
「高木美帆の姉ではなく高木菜那という1人の選手と、自分自身が受け入れることが今までできていなかった。どんな時でも、妹が速いから自分自身で妥協してしまうじゃないが、そこに逃げ道を作っていた」
大事なのは〝自分らしく〟あること――。「今季は何のためにスケートをしているのか、どうして速くなりたいのかを考えた時、高木菜那として氷の上に立ちたいという気持ちが芽生えた」。北京五輪で納得のできる結果を残せなかった。それでも、常に全力を貫いてきたからこそ「つらかったけど、チームのありがたみや仲間の大切さを感じられた。頑張ってきたからこういう大切さを心から感じられた」と神妙に語った。
今後については「機会があればメディアや講演で自分の言葉で、多くの人に伝えていければ」と口にした高木菜。スケート人生で培った財産は、子供たちに伝承していく。












