記録にも記憶にも残る名選手がリンクを去る――。スピードスケート女子で平昌五輪2冠の高木菜那(29)が5日、都内で会見を行い、現役引退を表明。「諦めずにスケートを頑張ってよかった。高木美帆の姉ではなく、高木菜那として戦えたことが引退を決意した理由です」と神妙に語った。
2018年平昌五輪では団体追い抜き(パシュート)とマススタートで金メダルを獲得。女子日本勢で夏冬通じて初となる2冠に輝いた一方で、達成感から「燃え尽きていた」時期もあった。しかし、妹・高木美帆(日体大職)が進化を続ける姿に「もっと速くなりたい」との思いが芽生え、04年アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダルの室伏広治氏のもとへ足を運んだ。
かねて「自分が速い選手かと言われたらそうじゃない」と自覚していた高木菜は、さまざまなトレーニングに取り組んだ。「どのスポーツも基礎は一緒なんだと思うことが多々あった」(高木菜)。紙風船での体幹トレーニングはルーティン化しており、2月の北京五輪でもレース前に紙風船で体幹の使い方を確認する場面が見受けられた。
身体能力の向上を実感するなど、確かな手応えを胸に挑んだ北京五輪。団体追い抜きでは最終コーナーでまさかの転倒。金メダルを逃した。さらに連覇を目指したマススタートでも予選のラスト1周で先頭に立ちながらも、再び最終コーナーでバランスを崩して転倒してしまった。
「今シーズンは自分の集大成という覚悟」。特別な思いで北京の地に立った高木菜。平昌五輪のような結果は残せなかった。それでも、必死に戦い抜いた姿は人々の脳裏に深く刻まれた。室伏氏は本紙を通じ「平昌五輪での金メダル獲得を含め、大変素晴らしい競技成績を収められ、特にコロナ禍での調整を余儀なくされた北京大会でも全力で頑張られました。これからの人生においても、高い目標を持ち続け、頑張ってほしいと思います。お疲れ様でした」とメッセージを寄せた。
「第2の人生にワクワクしています」。高木菜は笑顔で競技人生に別れを告げ、新たなステージへ足を踏み入れる。












