北京五輪スピードスケート女子マススタート(19日、国家スピードスケート館)準決勝で平昌五輪金メダルの高木菜那(29=日本電産サンキョー)は無念の転倒。連覇を逃した。「(マススタートは)正直もうやりたくない。怖い」とショックが残る結果となったが、やるべきことはやってきた。

 前回の平昌五輪では団体追い抜き(パシュート)とマススタートで金メダルを獲得。女子日本勢で夏冬通じて初となる2冠に輝いた一方で達成感から「燃え尽きていた」と当時を振り返る。そんな時、刺激になったのは妹・高木美帆(日体大職)の存在だった。2019年3月に開催されたW杯最終戦(米国)の女子1500メートルで世界新記録を樹立。進化を続ける妹の姿に「もっと速くなりたい」との思いが芽生えた。

 高木菜は「自分が速い選手かと言われたら、自分ではそうじゃない」と自覚していた。速くなるためにはどうするべきか――。さらなるレベルアップを求め、04年アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダルの室伏広治氏のもとへ足を運んだ。「どのスポーツも基礎は一緒なんだと思うことが多々あった」(高木菜)。日々トレーニングに励む中で、身体能力の向上を実感。紙風船での体幹トレーニングは今やルーティンとなっており、この日のレース前も紙風船で体幹の使い方を確認した。

 手応えを胸に、挑んだ3度目の五輪。15日の女子団体追い抜き(パシュート)では最終コーナーでまさかの転倒。金メダルを逃し「転ばなかったら優勝できたかもしれない」と泣き崩れた。それでも、仲間の支えもあり、この日もスタートラインに立った。しかし、予選のラスト1周で先頭に立ちながらも、再び最終コーナーでバランスを崩して転倒。悪夢が再び高木菜を襲った。

 平昌五輪のような成績は残せなかった。ただ、団体追い抜きの銀メダルは高木菜の努力の証し。「今シーズンは自分の集大成という覚悟」。悔しさを力に変えてきた高木菜は、3月には世界選手権(ノルウェー)やW杯最終戦(オランダ)が控えている。