ロシア・オリンピック委員会(ROC)チームから北京五輪のフィギュアスケートに出場している、女子金メダル候補カミラ・ワリエワに起こったドーピング問題。陽性反応が出た禁止薬物トリメタジジンは狭心症や虚血性心疾患の治療に使われるとされるが、「心疾患」と禁止薬物を巡っては、ロシア往年の名テニス選手マリア・シャラポワ氏が処分されたケースがある。
元世界ランキング1位で「妖精」と称されたシャラポワ氏は2016年3月、同年の全豪オープンでの検査でメルドニウムの陽性反応が出たことを自ら公表。国際テニス連盟から2年の出場停止処分を受けたが、スポーツ仲裁裁判所に提訴して1年3か月になった。
メルドニウムは健常者が使うと疲労回復や持久力の向上作用があるとされる。禁止薬物リストに載ったのは16年1月からで、シャラポワはそれを知らなかったと釈明。心臓疾患の治療と糖尿病家系であることへの対策として、医療目的で10年間使ってきたというのが主張の要旨だった。
ワリエワが検査で陽性反応を示したトリメタジジンは、血流を良くし、運動パフォーマンス向上や体調回復につながるなどの効果が指摘されている。心臓疾患に使われる部分ではメルドニウムと重なり、両成分は世界反ドーピング機関(WADA)の禁止薬物リストでは同じカテゴリーにくくられている。
ホルモン調節薬と代謝調節薬を示す「S4」類で、メルドニウムが「4.3」、トリメタジジンは「4.4」。WADAリストによると「トリメタジジンは興奮薬にその化学構造が類似していることに基づいて、従来S6.b(興奮薬)に分類されていたが、心臓代謝の調節薬として薬理学的に分類されるため」、15年から「S4」グループに入った。
テニスの女王の事例からやがて6年の現在、フィギュアの15歳女王候補に大舞台で持ち上がった「禁止薬物」と「心疾患」の謎。英文情報サイト「アンチ・ドーピング・データベース」はツイッターアカウントで、トリメタジジンでは20例の違反を把握しているとして、陸上が5件、水泳4件、ボートとレスリングなどが2件と内訳を示した。8選手が4年間、4選手が2年間の資格停止処分を受けているという。












