近い将来、産業を支えるとみられている無人航空機ドローン。昨夏の東京五輪開会式では1824機のドローンが一糸乱れぬパフォーマンスを披露して話題になった。今年6月には航空法改正ですべてのドローンが登録制になり、操縦にも免許が必要になるなど環境が一変する。そこで都内にある「東京ドローンアカデミー」の南浦弘嗣氏に日本におけるドローンの実情を聞いた。

 すでに軍事の世界ではAIを搭載した無人偵察機や無人兵器としてドローンは使用されている。2020年にアゼルバイジャン軍はアルメニアと30年来の紛争地だった地域にドローン部隊を投入して紛争を終結。ドローン部隊の圧倒的制圧力に世界の軍事関係者たちは舌を巻いた。

 民間では無人ヘリコプターを飛ばすよりも低コストで済むとドローンによる農薬散布が行われ、運送業界でもドローンの活用が期待されている。

 もうすぐドローンが当たり前に飛び交う時代となる。それを前にしてドローンを取り巻く環境が一変する。

「国土交通省が主管で今年6月20日から日本にある重量100グラム以上のドローンはすべて登録が義務づけられ、操縦者の免許制度もスタートする。いわば自動車が公道を走るために陸運局に登録してナンバープレートの取得が必要で、免許がないと運転できないのと同じ。すでにドローンはさまざまな分野で活用が本格化しつつあり、今後、ますます社会的重要性を増すとみられています」(南浦氏)

 現在は免許がなくても飛行が認められている。禁止空域や許可が必要な空域以外で高度150メートル以下、かつ目視ができる範囲内なら誰でも操縦することが可能だ。その一方で、誰でも操縦できることから事件、事故も頻発。15年4月、首相官邸に放射性物質セシウム134とセシウム137を積載したドローンが墜落したことは大きな話題となった。こうした背景もあり、ドローン操縦者の管理が必要と、政府は免許制度の導入に踏み切るわけだ。

 現在、日本にはドローンの操縦者を育てる民間学校が約1400校存在するとされるが、その講義内容や料金などはバラバラだ。

「東京ドローンアカデミーでは、座学はオンライン、実技は学校に来てやってもらうが、各学校によって内容は千差万別。特に技能訓練をするには建物内に大きな空間が必要で、どれくらい大きな空間を確保できているかが重要になる」

 こうした状況を是正するため、国交省は今年中に免許取得の場となる公認スクールの要件を発表する。これによってドローンの操縦資格を得るための学校の水準が一定程度担保されることになる。

 また、免許制度が導入されれば、自動車に一種免許や二種免許が存在するように、ドローンでも操縦する際の制約の有無によって免許が分けられることになりそうだ。

 すでに東京ドローンアカデミーは福岡、富山、三重に技能訓練を行える施設を用意。国交省の公認スクールの要件を満たすべく準備を始めている。

 この日もドローンの操縦技術を身に付けたいというロシア生まれロシア育ちの30代女性が見学に訪れていた。女性は「テレビのためにロシアのコーディネーターをしているが、ドローンの操縦技術を身に付けて、きれいな映像を撮れれば番組にプレゼンしやすいと思ったんです。あとは個人的なインスタ映えも狙ってます」と話す。

 また、ミュージシャンでドローンの講師資格まで取得した30代男性は「フェスやライブ会場でドローンを飛ばし、ステージから遠いお客さんにもドローン映像の生配信をスマホを通じて届けられたら面白いんじゃないかと思ってます」と語る。

 これまで日本のドローンに関する法整備や民間活用は世界に比べて出遅れていたが、ここにきて一気に動きだす。国内のドローン操縦者の需要と価値は、今後、うなぎ上りになりそうだ。