ドラゴンズファンが今年最も盛り上がったのが10月12日だった。この日、中日球団は立浪和義氏(52)に新監督就任を要請。ミスタードラゴンズが再びブルーのユニホームに袖を通すことが決まった。

 2009年に引退してから12年が経過しての監督就任。本来ならもっと早く監督の声が掛かってもおかしくはなかったが、そうならなかったのにはある理由があった。白井文吾前オーナー(93)が立浪氏の現場復帰に対してずっと反対のスタンスだったからだ。

 ドラゴンズの監督決定はオーナーの専権事項でもある。白井前オーナーは報道陣の前で立浪氏に対する厳しい評価を述べたこともあった。それだけに「白井オーナーの目の黒いうちは立浪監督はない」というのが中日本社内での一致した見方でもあった。

 その白井オーナーは昨年3月に退任して名誉オーナーに。代わって中日新聞社の大島宇一郎社長(57)がオーナーに就任したことで潮目が変わった。立浪氏は今年の春季キャンプで臨時コーチを務めるなど現場サイドとも緊密な関係を築き、着々とドラゴンズ復帰への足場を固めていった。

 だが、ドラゴンズのBクラスが決定的となった9月後半になっても来季の監督についての情報はなかなか表に出てこなかった。中日ナインをはじめ関係者の間では「次の監督が誰になるか本当にわからない。全く情報が入ってこないんです」という声一色。与田監督続投説や仁村徹二軍監督の昇格説などが乱れ飛び一部では「やっぱり立浪監督はないのではないか」という声も出てきた。

 10月初めに一部で「中日新監督に立浪和義氏が急浮上」と報じられたが、球団サイドはそれでも次期監督問題については徹底して沈黙を貫いた。本紙は10月6日、バンテリンドームでの「中日ー広島戦」のラジオ解説に来ていた立浪氏を試合後に直撃。

 中日ドラゴンズの次期監督候補として名前が挙がっているが

 立浪氏 候補に挙がっているかどうかわかりませんよ。新聞は勝手に書くけど。そうでしょ。何も言われていないのに挙がっているかどうかなんてわからないでしょ。

 ――中日球団から(監督就任要請の)話はきてない?

 立浪氏 ないです、ないです。あんまりあおらないでください。あるかないかわからないので。

 このやり取りからもわかるようにこの時点ではまだ立浪氏には中日球団から正式な監督就任要請は来ていなかった。

 だが10月11日のドラフト会議が終了した時点から球団サイドは来季の新体制に向けての動きを一気に加速する。翌12日に加藤球団代表が立浪氏に直接会って監督就任を要請。立浪氏がこれを受諾して「立浪ドラゴンズ」が誕生することになった。

 ミスタードラゴンズの監督就任が決まると名古屋の新聞、テレビ、ラジオは一斉に報道。この日、名古屋の民放全局が立浪氏のもとを訪れるなど立浪竜誕生は地元でトップニュースとして報じられた。12球団でもっともクライマックスシリーズ進出から遠ざかるなど長期にわたって低迷が続いているだけに中日ファンの間でも立浪新監督は大きな期待を持って迎えられた。地元テレビ局関係者からは「やっぱり立浪さんの監督就任をみんなが待ってましたよ。大島オーナーはよく決断してくれました」という声が上がり、中日関係者の間でも「(立浪新監督で盛り上がっているので)販売店もみんな喜んでいます」とささやかれている。

「(現役引退から)12年もあいてましたからね。ようやく来たなという感じでした」と立浪氏はしみじみと語ったが、これはまさに本音だっただろう。立浪新監督誕生で盛り上がる名古屋だが、ファンの期待通りの結果を残せるか。新監督の手腕に注目だ。