咲いたな、大輔! 巨人・村田修一野手総合コーチ(40)が西武・松坂大輔投手の引退登板を万感の思いで迎えた。

 19日の日本ハム戦(メットライフ)へ臨む同世代の盟友へ「僕らは彼を追いかけて、ずっと野球をやってきました。どういう形であれ、松坂大輔がすごかったことに変わりはないし、それは彼が築いたもの。胸張って西武の18番を背負って、胸張って投げてほしい」と熱く語った村田コーチ。黄金世代最強のバッターにとって、松坂はどこまでも特別な選手だった。

 高校時代に東福岡高のエースとして春夏の甲子園に出場した村田コーチは、センバツで横浜高の松坂と直接対決。自身も九州の剛腕として名を馳せていたが、「なんや、この球は…」と衝撃を受け、大学進学と打者専念を決めた経緯がある。

 この日は改めて高校時代を回想。「(松坂は)高校生の中に1人、プロ野球選手がいるなという感覚。これはちょっと異質なものを見せてくれたな、と。いつかあのボールを打てるようになれば、僕もプロ野球で成功するかなと思ってそれをイメージしてずっと練習を続けてきた。そういう意味では〝打者・村田〟ができあがったのも彼のおかげです」と感謝した。

 村田コーチが現役終盤に巨人を戦力外となった後、BCリーグ栃木へ身を移して野球を続けたのも、けがを抱えながら現役への執念を燃やす盟友の存在があった。「もう一度、NPBで大輔と対戦したい」という思いはかなわず、ユニホームを脱ぐと決めたときにも「僕らは〝松坂世代〟ですから、彼より先にやめるのはある意味、自然なこと。責任を持って、最後までやり抜いてほしい」と話していた。

 2019年には2人が出演したサントリー緑茶「伊右衛門」のCMが話題となった。満開の桜の下で男・村田が「咲けよ、大輔!」とボールを手渡すシーンは、その〝棒読みぶり〟もあって印象に残るものだった。

 この日は「お疲れさま」と声をかけたいとしみじみ語っていた村田コーチ。ボロボロの体でマウンドに立ち、しっかりとファンの前で最後の雄姿を見せた世代の英雄へ、今こそ「オマエハ、オレラセダイノ、ホコリダカラヨ」とつぶやいているだろう。