【米ニューヨーク4日(日本時間5日)発】テニスの4大大会「全米オープン」の3回戦で、世界ランキング9位で第4シードの大坂なおみ(22=日清食品)が同137位のマルタ・コスチュク(18=ウクライナ)を6―3、6―7(4―7)、6―2で激戦の末に下し、3大会連続のベスト16進出を果たした。

 センターコート第1試合に登場した大坂。この日も痛めている左太ももにテーピングを施し、年下の初対戦の相手と対峙したが、まさかこんな苦戦するとは思いもよらなかっただろう。

 第1セットは互いにサービスゲームをキープする穏やかな滑り出しとなったが、第5ゲームで大坂が先にブレーク。第7ゲームでは0―40とブレークポイントを握ったが、ここからデュースに持ち込まれてキープされた。玉砕覚悟で果敢に攻めてくるコスチュクに対して大坂は冷静に対処。第9ゲームもブレークし、最初のゲームを奪った。

 第2セットもコスチュクは感情をむき出しに向かってくる。気迫で押され気味の大坂はミスが目立ちはじめ、第7ゲームで先にブレークを許す。サービスエース、ウイナーの数で相手に大きく上回れる展開となり、3―5で迎えた絶対に落とせないサービスゲームの第9ゲーム、セットポイントを握られながら何とかキープ。すると直後の第10ゲームではウイナーを連発してブレークバックに成功した。しかし、タイブレークに突入すると、これまで冷静さを保っていた大坂のメンタルが変化。相手にポイントを取られると、この日初めてラケットをコートに叩きつけた。相手に押され続け、このセットを落とすと、またもやラケットを投げ捨ててしまった。

 ファイナルセットは気持ちを切り替えた。第4ゲームでは0―40と絶体絶命に立たされたが、ブレークポイントを5つセーブしてキープ。逆に第5ゲームは相手のダブルフォールトにも助けられてブレークして優位に立った。これで流れに乗った大坂は第7ゲームもブレークし、サービングフォーザマッチ(キープすれば勝利)の第8ゲームはラブゲームでキープ。2時間半を超える激戦に終止符を打った。

 苦しかった試合を制した大坂はオンコートインタビューで「タフな試合だった。将来が怖い選手です」とコスチュクを称えた。ラケットを投げつけたシーンを問われると「ショットがなかなか決められなかった。受け身になって考えすぎた」と振り返り、最後は「とても疲れている。アイスバスに入りたい」と笑みを浮かべた。

 また、この日も黒人差別への抗議として、今年2月に米ジョージア州でジョギング中に射殺された黒人男性、アマド・アーベリーの名前が記したマスクを着用。「起こる必要のない惨事をみんなに知ってもらいたい」と訴えた。