日本テニス界の「両輪」がもがいている。女子世界ランキング10位の大坂なおみ(22=日清食品)、男子同26位の錦織圭(30=同)はともに今夏の東京五輪で金メダルを目指しているが、現状は厳しい。昨年の今ごろは大坂が全豪オープン制覇直後で世界1位、錦織は同7位だっただけに、2人揃って大きく転落中だ。大事な五輪イヤーだけに心配が募るが、復活できるのだろうか? 現状と今後を分析する。

 大坂は体に問題はないが、メンタルが“故障”している状態だ。

 連覇を狙った1月の全豪オープンは15歳の“超新星”コリ・ガウフ(米国)にストレートで敗れて3回戦敗退。普通にプレーした相手に対し、独り相撲で自滅する精神面の弱さを露呈した。

 東京五輪出場の最終条件となる国別対抗戦フェド杯予選(7日)のスペイン戦では、世界78位のサラ・ソリベストルモ(23)にまたもやストレート負け(0―6、3―6)。第1セットを“ベーグル”で落とす失態の後、敗色濃厚となった第2セットの3―5の場面では突然、コート上で涙を流した。苦手なクレー(赤土)コートで再び自滅する形となり、試合後の大坂は「精神的に試合に入り込めなかったのは自分のせい」と猛省。唯一の救いは東京五輪出場の条件を完全に満たしたことだが、今回もメンタル面の不安を払拭できなかった。

 一方の錦織は現在、長期離脱中。昨年5月の全仏オープンから右ヒジに痛みを感じ始め、8月の全米オープン後に故障が悪化してツアーを欠場。10月に右ヒジの手術に踏み切ったが、復帰予定だった全豪オープンも回避。さらに復帰戦としてエントリーしていた17日開幕のデルレービーチ・オープンもキャンセルし、復帰は早くても3月6、7日の国別対抗戦デビス杯(兵庫・三木市)という状況だ(本紙昨報)。

 2016年リオ五輪銅メダリストの目標は、もちろん自国開催の東京五輪。現状では不安に映るが、今オフに日本で取材に応じた際、錦織は「焦らずに」「絶対に無理しない」を連呼していた。「夏にはいい状態で臨めるように」とも話しており、復帰の見送りはむしろコンディションを万全に戻し、100%で五輪を迎えたい気持ちの強い表れとも受け取れる。

 泣いても笑っても、五輪本番までもう半年もない。“低空飛行”を続ける男女エースはそろそろ復活の兆しを見せたいところだが…。