白血病からの完全復活を目指す競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス)が、にわかに増大中の東京五輪への期待に自然体を貫いている。

 21日の東京都オープンの50メートルバタフライ決勝では、25秒77秒の好タイムをマーク。復帰後初優勝を果たしたことで東京五輪出場も決して不可能ではなくなってきたが、約7か月ぶりに練習を公開した26日には「(東京五輪出場の)可能性があるなら頑張りたいですけど、パリ五輪を目指しているとずっと言っているし、心からそう思っている」と冷静に語った。

 東京五輪の代表選考会を兼ねた4月の日本選手権(東京アクアティクスセンター)も「完全に焦点を合わせているわけではないので、ナーバスになって種目を決めて試合に出る必要はない」とのスタンスだ。

 まだ実戦復帰してから約半年で体も完全にでき上がっておらず、周囲からはケガを心配する声も出ている。東海大学水泳部監督で2016年リオ五輪競泳日本代表のコーチを務めた加藤健志氏(55)も「天才だし、才能にあふれている。璃花子の泳ぎを見るとワクワクする」と期待する一方で、パリ五輪で金メダルを狙える逸材だからこそ「精神的にも肉体的にも壊してほしくない。じっくりパリに向かって国民も選手もコーチもやってほしい」と声を大にする。

 本人もまだ復活途上と自覚するだけに「いつかまた世界に戻りたい。今は階段を上り始めたばかり」。あくまで“パリ五輪の女王”へ向かってブレずに走り続ける。