天才スイマーが静かなる復帰戦を迎える。白血病で長期休養していた競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス)が29日に行われる東京都特別水泳大会(東京辰巳国際水泳場)の50メートル自由形にエントリーした。昨年1月の三菱養和スプリント以来1年7か月ぶり、病名公表後、初のレース出場を果たす。

 昨年2月に白血病が発覚し、12月まで長期入院。現在は2024年パリ五輪出場という大目標を掲げ、10月上旬の日本学生選手権出場を目指している。7月23日には国立競技場で開催された東京五輪1年前イベントに登場。全世界に向けたメッセージを朗読する元気な姿を見せ、ライブ映像は約500万回再生を記録し、圧倒的な存在感を示していた。

 だが、本格復帰を目前にした池江はあえて“貝”になり、大会出場の公式発表やコメントは封印した。マネジメント会社は「問い合わせがあったメディアに事実をお伝えしていますが、積極的な発表は控えています」と説明。この裏にあるのが、池江と同じ日大水泳部の部員が新型コロナウイルスに感染した一件だ。1日にPCR検査を受けた男子部員1人が陽性となり、11日には10人以上の集団感染が確認された。池江は濃厚接触者には当たらなかったが、関係者によると「少なくとも仲間が陽性になっている中、『自分だけ出場します! 頑張ります!』のような発信はできない」という本人の希望があったという。

 仲間への配慮が隠されていたわけだが、病のつらさを知る池江だからこその姿勢といえる。