プロ転向を表明したフィギュアスケート男子五輪2連覇・羽生結弦(27)からは、随所に覚悟が垣間見えた。

 10日にアイスリンク仙台(宮城・仙台市)で「SharePractice」を行い、平昌五輪で66年ぶりの2連覇を引き寄せたプログラム「SEIMEI」を演じるなど、約1時間にわたって自身の滑りを披露。「平昌と同じ構成のSEIMEIを表現するっていうところが今回の目標だったので、あの時よりもうまいんだっていうのを証明したいという強い意志があって、今日は最後まで滑り切らせていただきました」と振り返った。

 あえて「SEIMEI」を選択したのは、成長した証しを示すためだった。「平昌五輪の『SEIMEI』のイメージがかなり強いと思うんですよね。ただ、あの時はノーミスでできたわけではない。あの時にしたかった演技は足首の状態も含めてなかなかできなかった」と回想した上で「あの時よりも『うまいんだ』っていうことを証明したいみたいな…。今回、自分としてはあれから成長しているというところを見せたかったのが、一番強かったなというふうに思います」と意図を明かした。

 今回の公開練習は先月の会見後に計画。「自分がこれからプロとして活動していくにあたって、練習の光景とか、やっぱり4回転半(ジャンプ=クワッドアクセル)もやっていく姿を見せる機会がなかなかない。でも、自分の練習を見たいなって思ってくださる方もいるし、自分のアスリートらしさっていうか、根本的にあるさらに追求し続ける姿みたいなものを見ていただけたら」との思いで実行し、自身のユーチューブチャンネル「HANYU YUZURU」での生配信では、10万人以上が視聴した。

 フィギュアへの愛情は誰よりも強い。「配信とかも自分の楽曲を使っているわけじゃないので、お金がかかったりもするけど、今回は無料で見ていただけたらなと思って無料で公開しました。フィギュアスケートって華やかなイメージあるかもしれないけど、その中でこんな泥くさい、必死にもがいている姿があるんだなと見ていただきたくて。スケートに興味がない方にも見ていただきたいと思って公開させていただきました」と説明。プロ転向後初となる練習公開は、さらなる飛躍への足がかりとなったようだ。