北京五輪のフィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)が8日、首都体育館で行われ、3連覇を狙った羽生結弦(27=ANA)が思わぬ〝落とし穴〟にハマってしまった。

 冒頭の4回転サルコーが1回転になる痛恨のミス。続く4―3回転の連続トーループとトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は着氷させたが、基礎点ゼロの失敗ジャンプが響き、95・15点で8位に沈んだ。

 演技を終えた羽生は冒頭のミスについて「穴に乗っかりました。同じジャンプで自分のトレースにハマったという感じ」と原因を口にした。実は2019年のSPでも同様の失敗があった。当時について羽生は「6分間練習の時にあまりにも本当にミリ単位でコントロール出来過ぎていて、同じところに飛んでしまったんですよ」と振り返りつつ「今回はそのミスが自分の中で分かっていたので『ある』という経験があったので、ちゃんと6分間でちょっとしてたんですね。で、本番のときに完璧なフォームで、完璧なタイミングでいったら、なんか跳んだ瞬間にもう穴に入ってて、違うトージャンプの穴だったので、もうしょうがないです」と話した。

 過去のミスを教訓にハプニングを想定したにもかかわらず、足をすくわれてしまった。この悲劇をテレビで見ていたベテラン整氷作業員・高橋二男氏(84)は「もう運が悪いとしか言いようがないです。氷の状態は問題ないと思いますし、羽生選手は製氷後の3人目だったのに…」と同情した。羽生が登場した第4グループ前には整氷が行われ、その直後の6分間練習でついた溝にハマってしまったようだ。高橋氏は「僕らはこういうミスを見るのが一番つらい」と羽生の心情を思いやった。

 想像もしなかったハプニングについて、羽生は「自分の感覚の中でミスじゃない」と言い切った上で「なんか氷に嫌われちゃったな」と苦笑。10日のフリーへ向けて「氷に引っかからないように」「一日一善だけじゃなくてもう本当に一日十善ぐらいしないといけないのかな」と話した。