中国メディアがフィギュアスケート男子日本代表の羽生結弦(27=ANA)に対して「福原愛に続き、自国のアスリートと思わせる存在だ」と最高級の賛辞を贈った。

 中国サイト「テンセント」は、スポーツなどを扱う言論メディア「メディアクラス」の特集を掲載。羽生の幼少期からの経歴を振り返りながら、北京五輪で3連覇に挑む様子を熱狂的に伝えている。

「顔は翡翠のようで、立ち姿は松の木のようで、身にまとう空気は衝撃となり、その優雅さはまさにドラゴンのようだ」と形容。中国で最上級とされるものを並べて羽生をたとえるテレビコメンテーターのチェン・イン氏のコメントを紹介した。

 その上で同メディアは「福原愛に続き、中国人に彼を自国のアスリートと思わせることができるのが羽生結弦だ。日本出身であることを気にせず、中国人に愛される日本人は少ない。羽生はその一人だ」と中国でも抜群の人気を誇った元卓球選手の福原愛さんとともに絶大な支持を得ていると指摘した。

 その理由をこう分析。「フィールドでは羽生結弦は強さのある〝氷のプリンス〟である。一方で、フィールド外での彼のキャラクターが多くの中国人ファンを魅了してきた」。羽生の人間性に魅かれる中国人ファンが多く、その一例として「2017年の世界選手権の授賞式で、中国人選手のジン・ボーヤンが誤って中国の旗を逆さまに掲げてしまったが、羽生はすぐに気づくとボーヤンのもとに滑って向かい、旗の向きを直してあげた。このシーンは、中国で羽生に関する有名なシーンだ」と紹介した。

 北京五輪では新型コロナウイルス対策のため一般客は入場できないことになったが、そこで超異例の出来事が。日本の羽生ファンが中国大使館に、中国人に羽生を応援してもらいたいと〝要請〟すると、なんと外務省の華春瑩報道官が直々に「お任せください!」と返答。政府要人が〝中国を挙げての羽生応援〟を表明したことで、中国内では「華春瑩でさえ、みんなに応援を呼びかけた。これが羽生結弦の素晴らしさを表している」とそのフィーバーぶりが大きな話題になっている。

 中国政府が日本人選手を応援すること自体が極めて異例で〝快挙〟とも言える。北京五輪は〝ホーム〟の雰囲気の中で3連覇を目指すことになりそうだ。