フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)アイスダンスでは〝かなだい〟こと高橋大輔(34=関大KFSC)、村元哉中(かな=27、同)組が観客を魅了した。本紙は元世界女王の安藤美姫(33)を直撃。かつての銀盤のヒロインは、高橋の滑りをどう見たのか――。

 今年からアイスダンスに転向して話題を呼んだ高橋。ノービス時代からともに滑ってきた安藤は「幼なじみのような存在」と表現する。

 新たな分野への挑戦には「もともとエッジワークが深く、スケーティングの質は誰もマネできな選手。心配してませんでしたが、短期間であそこまで表現できるのはさすが」と絶賛した。

 その上で安藤は「未知なところに挑戦するのが高橋選手。フィギュア界において何かのきっかけをつくる人」と言い、2007―08年シーズンの革新的なショートプログラム「白鳥の湖~ヒップホップバージョン」を例に挙げた。

「今まで誰もやったことがなく、どんな評価をもらうかも分からない中で完成させた。あれがなければ、その後にやる選手は出てこなかったと思います」

 また、今大会はパートナーの村元が左ヒザを負傷。安藤は「彼女を思いやる人間性も高橋選手らしい」と話す一方で、自身の経験も口にした。

「同じチームだった2007年、私はケガをしてビービー泣いていた。その時、ずっと『頑張ろう』って支えてくれたんです。でも、何年もたってから、泣いてる私のことが『実は嫌だった』と言われて(笑い)。それもまた、高橋選手です」

 思わぬオチがついたが、相手を思いやる優しさ、そして正直に本音を打ち明ける真っすぐさ。そこに「大ちゃん」の魅力が詰まっている。