思いがあふれ出たレースとなった。

 今年で最後となる福岡国際マラソン(福岡・平和台陸上競技場発着)が5日に行われ、12度目の出場となった川内優輝(34=あいおいニッセイ同和損保)は2時間11分33秒で12位に終わった。

 9月下旬に左ヒザの靱帯を負傷し、準備期間が1か月半しかなかったという川内は、第2集団の後方に位置する苦しい走りを強いられる。最後まで優勝争いに絡むことなく悔しい表情で最後の福岡を終えることになった。それでもレース後は「今日できることは尽くした。タイムは全然だめだったが、自分の人生にとっては次につながる走りだった。(ケガ明けから)ここまで戻ってこられたのは福岡のおかげ」と最後の同レースをかみ締めた。

 2009年の初出場以来、11年、13年、16年で3位に入賞するなど自身の成長に大きく貢献した同レース。ラストランには、沿道から多くの激励を浴びたといい、時折声を詰まらせる場面も。11年には今井正人(トヨタ自動車九州)とデッドヒートを繰り広げたこともあり「ここで今井さんと勝負したよな、とか頭に浮かんできた。いないのに今井さんと一緒に走っている気になった。13年の、2位の選手に追いつけなかった時も浮かんできた。なんか死ぬ間際みたいな感じですよね」と冗談交じりに、数々の思い出が走馬灯のように駆け巡った最後の福岡の走りを振り返った。