やはり、リスクは高そうだ。東京五輪開幕まで40日を切る中、選手村での「3密問題」が懸念されている。東京五輪・パラリンピック組織委員会は選手村内での飲酒を容認する構え。競技終了後に大宴会が開かれる可能性があるほか、選手同士の〝超濃厚接触〟も不安視されている。オリンピアンや組織委関係者が明かす過去の国際大会における実態と、その問題点とは――。

 これも「五輪ファースト」ということか。新型コロナウイルス禍の影響で全国各地の飲食店が酒類の提供を制限される一方で、大会推進本部事務局は選手村での飲酒は容認の構え。組織委も15日にコロナ対策などをまとめたプレーブック(規則集)の第3版を公表したが、選手村での飲酒に関する文言は記載されていない。

 組織委の武藤敏郎事務総長(77)は「我々が自分の家でお酒を飲むのとほとんど同じ。禁止は考えにくい」と説明しているが、あるオリンピアンは「選手村で国を問わずにお酒を飲んで騒いでいる選手もいる。ある意味、開放的になってしまうこともある。また、選手村の中で海外の選手がみんなマスクをつけるのだろうか」と異議を唱えた。

 試合前は飲酒を控えるアスリートが多いものの、問題は競技が終わったあと。「選手村の階をまたいで『一緒に飲みましょう』みたいな話とかもあった。選手によってはあとは帰国するだけとか〝もう競技時にPCR検査も受けているので大丈夫だろう〟となれば、お酒を持ち込めるなら買って飲んでというのはありそう」(同)

 もちろん、選手たちが五輪に向けてすべてを競技にささげてきたことは誰もが理解するところ。前出オリンピアンは「個人の意見としては開放的になるし、今までグッと競技のためにっていう時間を使ってきたからこそ、お酒って大事なことだと思う。でも、今はみんな我慢をしている。アスリートも一番は自分の身を守ってほしいので、飲酒は少し我慢にして安全な所に着いてから飲んでほしい」と訴えた。

 さらに、飲酒だけではなく選手同士による〝超濃厚接触〟も懸念されている。実際、過去の国際大会では「夜はイチャイチャしているところをよく見た。やっぱりいろいろあるみたいで、逆に開放的になるのか、アジア大会の時とかも選手村で、日本人でもイチャついている姿があった」(同)と〝夜の交流会〟も行われていたという。

 組織委関係者もこの現状を不安視。「選手村で飲酒で盛り上がったりして、肉体関係とかを持ったりとかするような状況が発生すると、クラスターが起きてしまう。いくらワクチンを打っている選手が多いとはいえ、症状が出ていなくても感染している人はいるわけなので」と表情を曇らせた。

 選手村では約16万個のコンドームが配布される予定。組織委は啓発が目的で母国に持ち帰る前提であることを強調しているが、その意図を全員が理解するかには疑問符も付く。不測の事態が発生した場合、これまでの努力はすべて水の泡となるだけに、改めて「安心・安全」の在り方を考える必要がありそうだが…。