日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が取材に応じ、中国の「ワクチン提供問題」について言及した。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)は11日の総会で東京五輪の参加者向けに中国オリンピック委員会から新型コロナウイルスのワクチン提供の申し出があったことを一方的に公表し、波紋を広げた。

 山下会長はIOCからの報告は今に至るまで「全くない」とした上で「今後もNOC(各国オリンピック委員会)に直接、コンタクトを取ることはないと思う。IOCとしては、ワクチンは国(政府)の問題と言っていますし。組織委員会は何で事前に知らせてくれなかったのか…となっているようだけど」と静観する構えを見せた。

 これまでIOCと日本側は事あるごとに「ワンチーム」を強調。JOCのみならず、なぜ組織委や日本政府にも情報が伝わらなかったのか。山下会長は「毎週のようにIOCと(組織委は)連絡は取っていると思うけど、総会の直前に中国からそういう話が出て、日本側と共有する間もなく、そのタイミングで報告(総会)があったからポロって言っちゃったのでは?」と推測する。

 ただ、このバッハ会長の〝独断〟には「海外はそういうトップ判断を下すケースが多いでしょ。それにバッハ会長は日本が喜ぶだろうと思って話された雰囲気でしたね」と特に問題視はしなかった。

 一方、パワハラ問題を抱える全日本柔道連盟の会長職については「進退の件は一切コメントしません。周りが動揺するから一切、コメントしないでくださいって副会長に怒られたから」とけむに巻いた。