もうなりふり構っていられない。10日投開票の参院選で、生き残りをかける弱小政党が反撃のノロシを上げた。立花孝志党首(54)率いるNHK党は療養明けの青汁王子こと三崎優太氏(33)に加え、人気ユーチューバーのヒカル(31)を応援弁士に引きずり込めば、れいわ新選組の山本太郎代表(47)は総理大臣就任まで封印を宣言していたメロリンQをついに“解禁”したのだ。

 中盤戦の締めくくりとなるラストサンデーとなった3日、各陣営が動いた。まず勝負に出たのがNHK党だ。東京・新宿駅前で行われた街頭演説会に立花氏とともに三崎氏とヒカルが現れ、聴衆は超人気インフルエンサーのサプライズ登場に驚いた。

 この日、三崎氏とヒカル氏がホスト役となるユーチューブ番組「賛否両論」に立花氏がゲストで出演。立花氏は「俺をブッキングした時点で、いけると思った」と両氏を口説き、そのまま街宣会場に連れ出していたのだ。
 三崎氏はユーチューブのフォロワー84万人を誇り、5月に救急搬送され、今月1日に復帰したばかり。ヒカルはメインチャンネルで476万人のフォロワーを抱えるインフルエンサー。ヒカルは参院選の公示前に謎の政党とされた「ごぼうの党」代表の正体を伝え、“ごぼう応援団”になるかと思われたが、立花氏が先に“引っこ抜いた”形だ。

 三崎氏とヒカルは当落線上にあるとされる比例代表候補で暴露系ユーチューバーのガーシーこと東谷義和氏(50)に触れ、「ガーシーさんは皆さんが画面越しに見ている側面と、義理人情に厚い、優しい側面も持っている。投票用紙に『ガーシー』と書けばいいんですかね」(三崎氏)、「ガーシーさんが当選するかもしれないと考えたら、本当に時代は変わる。テレビからネットになって、ダメなことが表にめくれて、隠し事ができない時代」(ヒカル)とすっかり“ガーシー応援団”と化した。

 立花氏はしてやったりの表情。特にヒカルは以前から目をつけていて、この日初対面にもかかわらず、演説までさせてしまった。ヒカルは「日本を変える人はこれくらいぶっとんでないといけない」と立花氏に感嘆するばかりだった。

 一方、約30年ぶりに伝説のパフォーマンスを解禁したのがれいわの山本氏だ。都内のJR錦糸町駅前で行われた「れいわ甲子園」と題した街頭演説会で、「1番、元祖・放送禁止物体、ミスターX君」とのアナウンスで、全身黒マントに身を包んだ男が登場。マントを脱ぎ捨てるや、出てきたのは黄色のスイムキャップにピンク色のバスローブ、素足にスニーカーの山本氏だ。

 往年のファンならいわずと知れた「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」のダンス甲子園で一世風靡した「メロリンQ」の降臨だ。山本氏はこの伝説のキャラについて、「総理になった最初の会見で解禁する」と宣言していたが、参院選のこの勝負時で投入した。

 音楽に乗って、奇抜なダンスを披露したものの山本氏は「ここまでだよ」と海パン一丁姿までは披露せず。どうやら16歳のメロリンQを演じた山本氏がタイムスリップした設定で、令和の時代を生きる山本氏に応援メッセージを送るという演出だった。

 メロリンQは「山本太郎は一人で(国会で)牛歩をやって意味不明です。47歳、大丈夫か。私は彼の気持ちが手に取るように分かる。おそらく16歳のメロリンQよりも常識がありません。さらに空気を読んでいません」と自虐すると、最後に「総理になったらメロリンQをやるのが公約の一つだが、心配になる。でも頑張ってほしい。山本太郎頑張れ、れいわ頑張れ。消費税廃止してくれ。頼んだぞ」と自身を鼓舞する応援メッセージを寄せた。

 東京選挙区から立候補している山本氏は当選圏内に入ったとみられる中、「比例票が思ったよりも伸びていない。前回の参院選と同じ2人目の当選者を出すために注目を引かせる必要があったのでは」(永田町関係者)。
 山本氏にとってメロリンQは最終兵器。その全面解禁の一歩手前まで、スイッチを入れざるを得ないほど追い込まれている情勢だ。