北海道・知床半島沖で26人を乗せて消息を絶った観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」を運航する「知床遊覧船」の桂田精一社長が27日開いた記者会見の内容に、「パフォーマンスだ」「誠意が感じられない」などと批判が湧き上がっている。悪天候が予想された中での出航に「最終的な判断は私です」と話したが、航海中については「船長判断」と発言。責任問題はどうなるのか――。

 事故発生から5日目にして、初めて公の場に姿を見せた桂田氏。冒頭、うつむきながら「皆さん、このたびはお騒がせして大変申し訳ございませんでした」と土下座。続けて被害者家族らへの謝罪を述べた後に再度の土下座をしてみせた。

 さらに約2時間半に及ぶ会見を終えた後、もう一度土下座した桂田氏。計3回も土下座したわけだが、この行動をパフォーマンスと受け取った人も多かったようだ。

 問題は出航の判断を誰が下したのかだが、桂田氏は「最終的な判断は私です」と認めつつ、「条件付き運航」という言葉を連発した。事故当日の出航前、高さ3メートル以上の波が予想される波浪注意報が出ていた。桂田氏は船長の豊田徳幸氏と打ち合わせし、天候が荒れる可能性を共有。出航後に海が荒れた場合、船長判断で引き返すことになっていた。こうした「条件付き運航」はよく行われていたという。

 出航後に引き返す判断は「船長から(引き返すと連絡が)かかってくるときもあるし、かかってこないこともある。船長の独断では引き返しにくいということはない。現場は船長判断だ」と、社長である自身に了解を取る必要はなかったとした。

 繰り返される「船長判断」という言葉に「船長に責任を押し付けていないか」との質問も出た。桂田氏は「押し付けているということではなく、頼りすぎているということ」と答えていた。

 責任の所在は法的にはどうなのか? 元衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏は「事故の責任を負うのは一義的には船長になります。社長は船の修繕・補修に不備があった場合や利益のために指示して出航させた場合などに責任が生じるでしょう」と指摘する。衛星電話や無線アンテナが故障したままだったことの責任は桂田氏にもありそうだ。

 該当する罪には、業務上過失往来危険罪と業務上過失致死傷罪がある。すでに死亡が確認された乗客もおり、後者が適用される可能性が高い。その場合、有罪なら5年以下の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金となる。

 また横粂氏は「運航にあたって一切の権限が船長にあったのなら社長は罪に問われないでしょう。しかし、会見で『条件付き運航』と言っているので、出航の指示は認められるかもしれません」という。条件付き運航で打ち合わせをしたのなら、船長判断だけで出航したわけではないということだ。

「茶番だ」「人ごとみたいだ」などと批判された会見だが、横粂氏は「出航の最終的な判断は私」と認めたあたりに桂田氏が責任を自覚しているとみている。

「とはいえ『船長判断』という言葉に本能的な保身の考えが出ている。自分が悪いというスタンスだが、心の奥底では船長のせいという本心があるのかもしれません」

 もしそうだとしたら、土下座がしらじらしく見えるのも当然か?