新日本プロレスのグレート―O―カーンが男に絡まれていた女児を救出し、警察から感謝状を贈られたニュースに防災アナリストが「見て見ぬフリをする日本社会を打ち破る素晴らしい行為」と感激の声を上げた。オーカーンは先月29日に神奈川・川崎市内のJR武蔵小杉駅内で、10歳の女児が61歳の泥酔した男に迷惑行為を受けた現場に遭遇。片手で好物のスイーツである桜もちパイを食べていながらも、もう片方の手で男を取り押さえ、女児を解放した。

 元東京消防庁消防官で一般社団法人「日本民間防衛連合会」代表理事の金子富夫氏は「オーカーンは立派です。昨今、知らん顔社会になってしまったが、オーカーンの勇気ある行動を見て、人が困っている事態に直面した際、声を上げ、助ける行動を取ることに皆さんが少しでも気付いてくれれば安全な環境ができる」と指摘する。現代社会は人とのつながりが希薄化し、事故や災害が起きてもそのまま素通りしてしまうケースも多い。昨年、小田急線や京王線の車内で殺傷事件が起きた際にも人々は逃げ惑うだけだったことに金子氏は失望していた。

「車内に腕っぷしの強い若者がいたはずだが、群集心理が働き、みんな逃げる方に優先し、関与しない。それどころか映像を撮るのを優先し、現代社会の病理とも言える。誰かが声高にみんなでやっちまえ的な一言を上げれば、必ずその場の雰囲気は一変する。昔、西部劇などでピストルを空に向け、発砲したのと同じです」

 金子氏は「日本民間防衛連合会」を昨年発足させ、地域から防災・防犯に取り組み、啓発活動に取り組んでいる。それだけにオーカーンの行動には感服しきりで、「ロシアからの侵攻を受けたウクライナ国民の国防意識同様、身の回りの人の命を守る意識が日本社会にもっと芽生えてくれることを願いたい」と力説する。

 金子氏は今後、オーカーンを同連合会の講習会やイベントの際に講師だけでなく、「名誉顧問」として迎え入れたい意向も明かした。