中国コロナ非常事態でも明るさ失わず 防護服ナース奮闘支える“落書き遊び”

2020年02月27日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】ヤバい状況の日本を尻目に、中国では新型コロナウイルスの封じ込めがある程度の効果を上げつつある。上海在住駐在員が語る。

「当局発表データを信じる前提でだが、発生源の湖北省を除くと患者数は明らかに減少傾向。武漢を中心とする湖北省でも一時のパニック状態は緩和されつつあり、病院を急造したこともあって、感染者が治療を受けられず放置されることもなくなってきた。だから気が緩んだのか、湖北省同様に危険エリアの浙江省杭州市にある西湖では22日、5000人超の観光客が押し寄せ、政府が『予断を許さない』と緊急アナウンスした」

 中国のSNSユーザーの日本人男性は先日、中国人の友達から「コッチは田舎の小さい町で感染者ゼロだし、中国の状況は次第に良くなってるが、ソッチはどうか。自分と家族の身は自分たちで守ってくれ」とメールをもらった。「日本で感染爆発したら数千、数万じゃ済まないという日本メディアのシミュレーション報道を見て、本気で心配してくれている」

 そんな中国の最前線で今、“見えない敵”と闘う若いナースたちに流行しているのが、白い防護服に落書きすること。

 もともと中国人は自撮りが大好き。だが防護服姿だと誰が誰だか分からないため、マジックで自分の名前を書き、ついでに「武漢加油(頑張れ)」といったメッセージも添えていた。それがエスカレートし、自分を鼓舞する四字熟語、事態が終息したら食べたい料理名、彼氏募集の文言などを書くように。落書きだらけの防護服姿をSNSに載せるナースも現れた。ケガ人のギプスに落書きするような感覚なのだろう。

 バレンタインデーには、あるナースが防護服に愛の告白を書き、SNSにアップしたのを美談として大手メディアが報道。ある小児科医院では、子供が防護服姿を怖がらないようにと、婦長がナースたちの防護服にアニメのイラストを描き、これも中国全土で報じられた。

 それを機にイラストを描くのもはやりだし、「ウイルスに打ち勝つ勇敢な美少女戦士たれ」と思いを込めたセーラームーンや、スペシウム光線でウイルスを消し去るという願いからウルトラマンを描くナースも。

 こうした現象の背景を「ナースたちの多くは1990年代生まれで、日本のゆとり世代と同様、甘えているとか程度が低いとばかにされてきた。そんな彼女たちが明るさを失わず奮闘し続けていることに、人々は感動している。中国では今、非常事態下でも何か楽しみを見つけ、明るく努めようという風潮だから」と駐在員は解説する。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。