新日本プロレスのIWGPジュニアヘビー級王者エル・デスペラードが、団体の垣根を越えた防衛ロードを見据えた。2月11日のゼビオアリーナ仙台大会ではマスター・ワトとのV2戦が決定したが、ベルトを取り巻く環境はここにきて急展開の兆し。ノアとの対抗戦でも刺激を注入されたことも重なり、長らく〝鎖国〟状態の新日ジュニアに持論を展開だ。


 デスペラードは4日東京ドーム大会で高橋ヒロムを下し、初防衛に成功。だが、翌5日大会でワトに屈辱のギブアップ負けを喫した。「(ヒロム戦後に)ふ抜けたつもりは一切なかったけど、取られてるという結果が出てるんで。もしかしたら慢心があったのかなとも思う。まあ、そう言うとワトの頑張りに失礼だけどね」と振り返り、王座戦での汚名返上を誓った。

 初防衛直後はGLEATに所属するエル・リンダマンの名前を挙げたことで、外敵勢との防衛戦の期待も高まった。団体外からの反響も大きく「なぜか佐々木大輔も(ツイッター上で)リングネームをリンダマンに改名してたけど。でたらめだなって。誰だって自分の団体を一番だと思ってるはず。だからよその所属の人がIWGPを(狙う)っていうのは、とても大事な、俺の中ですごくプラスな刺激だったね」と発奮材料になったと認める。

 さらに8日のノアとの対抗戦で対戦したYO―HEYにも興味津々だ。長らく交流が途絶えていた国内他団体との関係に変化が生まれつつある状況は、かねて〝開国〟を望んできた王者にとってそのまま「負けられない理由」につながる。

「最高に面白いなと。いろんなヤツを見てしまったので。リンダマンも、佐々木大輔も声を上げてる。こんなに面白い状況を、負けちまうと失ってしまう。彼らが見てるのはIWGPなので、ワトがそんな面白いとこにいっちゃうの絶対嫌なんで。そんな面白い状況は俺が絶対逃がさない」

 ただし、ノアとの対抗戦は一夜限りで〝休戦〟となることが濃厚だ。しかし、デスペラードは「単純に楽しかったよ。試合内容なんて見に来てる人と見てる人しか知らないけど、ノアファンも新日本のすごいとこ見たと思うし、新日本ファンもノアのかっこいい部分を見たと思う。年に1回とか半年に1回とか限定的でも開いてほしいなと。常に交流すると、これはこれでつまんねえから」と熱望する。

「やーやー言って注目浴びるのも、ベルト持ってるから。時代が開かれていって、いろんなヤツとの交流が始まるときに先陣を切って戦いたいんでね」。新展開の予感を肌で感じながら、新日ジュニアの先頭を走り続ける。