新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者・鷹木信悟(38)が、団体を混乱させる〝ベルト論争〟に終止符を打つウルトラC案を披露した。6日の大阪大会ではザック・セイバーJr.を下しV3に成功。来年1月4日東京ドーム大会でG1クライマックス覇者オカダ・カズチカ(34)とのV4戦が決定的となる中、挑戦権利証代わりに〝復活〟した4代目IWGPヘビー級ベルトを団体創始者のアントニオ猪木氏に返還する意向を示した。

 大阪決戦で年内最後のIWGP世界戦を制した鷹木は試合後、同日にタマ・トンガを退け挑戦権利証の防衛に成功したオカダと対峙。「これからはIWGP世界ヘビー級チャンピオンに代わって『G1クライマックス31』チャンピオンが新日本を引っ張っていきますので、ご苦労さまでした」と挑戦表明を受けると「どっちが強いか決めようぜ。場所は1・4、東京ドーム」と応じた。

「チャンピオン同士の対決」という概念を全面に押し出すG1覇者のプライドを、鷹木は最大限に尊重する。ただし、自身こそが正当な団体の最高峰王者であるという思いは譲ることができない。封印されていた4代目IWGPヘビー級ベルトを挑戦権利証代わりに要求したオカダ、そしてそれを認めた団体には憤りをあらわにする。

「ああやってベルトをおもちゃ扱いしてるのはどうかと思うよ。ああいう使い方をしてIWGPの歴史と伝統、権威を落としているのはオカダ自身だよ」と一刀両断した。

 チャンピオンベルトはあくまで正当なタイトルマッチの勝者にのみ与えられるものであり、リーグ戦覇者に保持する資格はない。仮にそれが現在は使用されていないベルトであったとしても、誤った使用法がまかり通るのは王座への敬意を欠くという主張だ。

 このあしき前例が繰り返されないためにも、鷹木はある〝解決策〟を提示する。「ベルトを封印したにもかかわらず、社内に置いておくことからこういう事態になり得る。だったらあるべき場所に返したほうがいいと思うよね。お会いしたことはないから軽々しく名前は出さないけど、新日本のレスラーならば誰もがリスペクトしているあの方が作ったベルト。来年、設立50周年の節目だし、その方に戻すのが一番きれいな形ではないかと思う」

 あえて名前を口にはしなかったものの、団体とIWGPの創始者である猪木氏に返還するのが理想という持論を展開した。オカダは同ベルトにG1決勝で負傷した「飯伏幸太を待つ証し」という意味合いも持たせていたが、扱いが権利証代わりなのであればその役目は東京ドームで終わりを告げる。

 頂上決戦を制して4代目ベルトを〝没収〟し、IWGPヘビーの歴史に真の終止符を打つ方向にかじを切るつもりだ。「王者としてやらなきゃいけない相手はまだまだいるしね。『飯伏を待つ』というのも、俺がこのベルトを持ってという形が一番自然だと思うし」。正当なる最高峰王者の誇りと野望を胸に、メモリアルイヤーの幕開けとなる「イッテンヨン」に向かう。