女子プロレス「アイスリボン」の藤本つかさ(38)が、5月4日の横浜武道館大会を最後に無期限休業に入る。同大会では春輝つくし(24)の引退試合も行われる予定で、団体の二枚看板が同時にリングを去る。アイスリボンは大丈夫なのか。佐藤肇社長(58)に今後の展望を聞いた。


 15日に一般人男性と結婚した藤本は、20日の後楽園大会で無期限休業に入ると発表。春輝の引退試合と同じ5月4日横浜大会が〝ラストマッチ〟となる。藤本は「私一人がいなくなったところで、アイスリボン終わったとか、解散だとか、そんなことはない。安心してください」と強調するが…。

 佐藤社長(以下佐藤) 確かに藤本、つくしがいなくなるのは痛手です。多様性の選手を生み出す象徴だったのがつくしだと思うし、いろいろな個性のあるアイスリボンをけん引していたのは藤本なので。運営としては痛手ですが、だから面白いのかなと。今と比べてどうなの?というのではなく、先が分からない面白さですね。今までの体裁を取りましょうとするとそこにピースが不足するかもしれないけど、ピースが不足しているとは思っていないので。

 佐藤社長の感覚では、2012年1月にさくらえみが退団した時の方が危機感は強かったという。当時は藤本と志田光に「2人がやるなら残すけど、やらないなら団体を潰す」と二者択一を迫ったところ、「やります」と返事がきたため団体を存続させ今に至る。当時と違うのは、団体を守る意識がある選手が増え、また年内のデビューが見込める練習生が多くいることだという。加えてアイスリボンに上がるフリーの選手も増えている。

 佐藤 今はより多くの選手たちが「私たちがアイスリボンです」と言ってくれている。今までと同じではないが、新しいアイスリボンにワクワクしますね。デビューする新人? 本当は5月4日に何人かポーンと発表できればと思うんですけど、年内という形では7~8人くらいな感じですかね。そういう面では、志田選手も今年から国内の試合を多くやっていこうという中でスケジュールが合えばですし、カラーズの子たちもそうですし。5月4日は本間多恵選手の復帰もアイスでやる。だから、布陣としてそんなに不足する?と。安納(サオリ)選手も山下(りな)選手もいる。逆にカードから人が余るんじゃないかというくらいの布陣なので。

 また、プロレス休業中の藤本にも重要な任務がある。本人は「スタッフが足りないというのが今のアイスの補充すべき点なので、そこを強化したい」と語っているが、佐藤社長が期待を寄せる2つの役割がある。

 佐藤 基本は広報ですね。彼女の発信力が急になくなるわけではないですし。天才肌は人に教えられないんですよ。「なんでできないの?」となってしまうから。コーチ、育成は難しいけど、リクルーティング(人材募集)とかなら。あとは営業的な部分においてですね。大日本プロレス時代、私は登坂(栄児)さん(現大日本社長)と回っても、橋本真也さんが来ると全部ゼロワンに持っていかれる悔しい思いをした。そこを彼女が行けば「藤本つかさが来た」となる。そういうところで活躍してもらえれば。

 年内のビッグマッチは5月4日横浜大会がラスト。その後は月1ペースで開催される後楽園ホール大会を中心にした興行日程を組む予定だ。

 佐藤 今までと同じものとは思わないでほしいですし、逆に新しいアイスリボンがつくれるのかなと。象徴2人がいなくなるので、どんな形のアイスリボンになるかはこれからいるメンバーがつくっていく。だから今までのような修繕じゃなくて、改築ですよ。いや、大黒柱がなくなるので新築ですね。