“政治家”デビュー・天龍の参院選出馬あるのか 街頭演説聞き取りやすかった滑舌革命

2019年04月11日 16時30分

天龍がリングではなく選挙カーの上でマイクを握った。右は間宮氏

“ミスタープロレス”天龍源一郎(69)が10日、都内で区議会議員選挙の候補者応援のため街頭演説を行った。天龍といえばしわがれた声、滑舌の悪さでおなじみ。「聴衆が聞き取れるのか?」と心配する声もあったが、無事に“政治家”デビューをこなした。実は、永田町では今夏の参院選で目玉候補探しが真っ盛りだが、まさかの「天龍出馬」はあるのか。

 2015年11月15日に行われた引退試合から3年5か月。この日、天龍が上がったのはリングではなく、特別仕様の選挙カーだった。

 統一地方選の後半戦を迎えるに当たって、江戸川区内には天龍の顔写真が入る政治ポスターが各所に張られていた。「天龍出馬か」と騒がれていたが、区議選に立候補するのは天龍ではなく、旧知の仲である間宮由美・前江戸川区議。応援のために都営地下鉄船堀駅前に駆けつけたというワケだ。

「どうも皆さん、こんにちは」。第一声はいつものダミ声で、約50人ほどの聴衆から笑い声が漏れる。しかし、思っていたよりも聞き取りやすいじゃないか。

「雨は降っているし、俺の言っていることが、ちゃんと通るのかってくらい悪天候ですが、たくさん来ていただきありがとうございます」

 天龍と間宮氏の縁は、間宮氏が小学校教師をしていたころの教え子に天龍の愛娘、紋奈さんがいたことに始まる。間宮氏の「ひとりじゃないよ。プロジェクト」に賛同し、同プロジェクトの応援団長を天龍が務めている。

「皆さんの中には介護だとかいろんな問題が発生しているかと思います。13年相撲をやってきて、40年プロレスをやってきましたけど、何とか周りに支えられて今日まで生きてこられたと思います。だから皆さん、決して1人じゃなく、誰かがあなたのことを必ず見守っているとの確信を持って、将来に向かって一生懸命生きてほしいと思います」

 自身の半生と候補者の特徴をうまく重ね合わせ、演説としてはかなりまとまったものになっていた。間宮氏によると天龍とのタッグでの街頭演説は初めてというが、プロレスで鍛えたマイクパフォーマンスが生きているようだ。

 14日に同区議選の告示を迎える間宮氏は「天龍さんの誠実さに今日はとても励まされました」と意気に感じている。

 完璧に演説をこなしたことで、もう永田町が放っておかなくなる。今夏の参院選へ向け、各党が目玉候補のリストアップに忙しい。アスリート人気は高く、本業を引退した天龍もまたリストに名を連ねているという。

 天龍はこの日の演説だけでなく、先月には故郷の地元紙である福井新聞で選挙について熱く語っている。「地盤看板を引き継ぐ2世議員が多くて、叩き上げの人が少ない気がするね」「木で鼻をくくったような答弁を聞いていると、1人で腹を立てている俺がいる」と最近の政界に不満な様子。

 同時に「俺自身は、政治家より村の役員ならやってみたい。身近で分かりやすいもんな」と国政よりも地方政治に目を向けているともいえるが、永田町の候補者ハンターたちが黙っているとは思えない。

 天龍は本紙に「うちの娘の学校の先生が『ひとりじゃないよ。プロジェクト』というのをしていて、駆けつけた次第です。聞き取りやすかった? そうですか、ははは。それはそれで困るんだけど」と言い残し、満足げに去っていった。ダミ声演説が参院選で見られる日は来るのか。

【プロレス界から政界へ多くの議員】プロレス界は何人もの国会議員や地方議会の議員を輩出してきた。

 現役で活動しているのは参院議員のアントニオ猪木氏(76)。ちょうど30年前の1989年、スポーツ平和党を率いて参院選に出馬し、比例代表で当選を果たした。2期目を目指した95年に落選するも、日本維新の会から立候補した2013年参院選で議員に復活。改選期になる今年、国民民主党の会派に加わった。

 政権党の自民党では、新日本プロレスで猪木氏の後輩だったレスリングのロサンゼルス五輪代表の馳浩氏(57)が95年参院選で国会議員転身を果たす。00年の総選挙で鞍替え出馬で当選し、議席を保っている。15年から16年まで文部科学相も務めた。

 同じく自民党では大仁田厚氏(61)も01年から参院議員を1期務めた。中央政界からは引退したが、09年の長崎県知事選に名乗りを上げ落選。18年には佐賀県の神埼市長選に立候補したが、敗れた。女子プロレスの神取忍氏(54)も04年参院選に同党から立候補して落選後、06年に繰り上げ当選が決まって10年まで在任。同年の改選で議席を維持できなかった。

 地方議会では、新日本プロレスなどで活躍した西村修氏(47)が11年から東京・文京区議を務めており、今年は改選期となる。西村氏は参院選出馬歴もあり、ほかにも佐山聡氏(61)ら国政選挑戦の例がある。