【週刊Mリーグ】あの〝伝説〟も本当です! ミスターMリーグ多井隆晴が2019シーズンを振り返る②

2020年07月25日 12時00分

〈上〉会心の対局も振り返った多井(撮影=東京・渋谷の麻雀オクタゴン)〈下〉2月24日1回戦の3暗刻崩し白切りリーチ。他家の当たり牌・1筒を止め、自身はツモアガリ

【特別企画・トップMリーガーインタビュー】プロ麻雀リーグ「Mリーグ」を徹底追跡する当欄は先週から特別企画として、トップ選手のインタビューをお届けしている。自信たっぷりにマシンガントークを炸裂させるのは“ミスターMリーグ”こと渋谷ABEMASの多井隆晴。先週に続き、3位に終わった2019シーズンを振り返りつつ、あの“伝説”の真偽も…。

 

 ――多井選手自身が一番印象に残っている試合、対局はどれですか?

 多井 5位から8位のチームが直接対決した2月24日のレギュラーシーズンの天王山です。ボクが2連勝して当面のライバルのPiratesに2ラスを押し付けて、トップラスを2回決めた試合。あの瞬間はまさにうちのチームが(セミファイナルに)残ることを確定した試合。僕はチームのみんなだったり、監督だったり、ファンが本当に勝ってほしい時に、2回に1回勝てるプロになりたいんですよ。今のところ7割くらい勝ってるんで。本当に勝ってほしい時に。

 ――昨シーズンから通して、多井選手の勝負強さは際立っています。特にセミファイナル、ファイナルではそれが目立ちます

 多井 レギュラーシーズンは守備型でやってきて、準決勝・決勝はスタイルをまるで変えて、トップ率を極限まで上げる。よくボクは“ちゃかし”で言うんですけど、人間はどれだけ頑張ったら、どれだけのトップ率に行くんだろうと。ボクは(自身が)人類の到達点だと思っていて、ここぞっていう時のトップ率5割行くと思っているんで。ありえないですね。ボクの通算成績が3割3分くらいで、3回に1回トップ取る。25年間。それも驚異的なんです。

 ――単純計算だと4回に1回のトップが平均なので、プロ通算で3回に1回はすごい数字です

 多井 今までの麻雀界は、技術があまりできていなかった。最近ABEMAで流したり、戦術本がいっぱい出て、日本中がうまくなっちゃったんですよ。突出して勝つ人がいないんですよ。ボク、1000人が出る大会とかで何回も何回も優勝しているんです。1000分の1を10回優勝したことがあるんですけど、ありえないじゃないですか。ボクがまあまあ強かったんですけど、将来もっとみんなが強くなっちゃうと、これぐらいの活躍できるプロって現れないので。トップ率33%のプロって絶対に現れないです。最高でも3割くらい。

 ――それでなくても高いトップ率が、決勝戦やここぞという試合でさらに上がる理由をどのように分析していますか?

 多井 振り切りです。ラス引いてもいいやと。守備でも読みやすいんです、条件戦の時は。普段は自由演技なんです。フィギュア(スケート)でいうところの。普段は読みにくいんですよ。オーラスでポン・チー1000点2着で終わる人もいるし。規定演技に入った時は、しっかりと打ってくれたら読みやすいので。すけてきますよ、手牌が。

 ――以前、このような“伝説”を聞いたことがあります。多井選手は時間さえかければ、局終了後にほかの3人の全ての手牌を読み切れると

 多井 13枚ずつ3人の(手牌を)を当てたことはあります。研究会で全員分、当てたことがあります。マン・ピン・ソーの場所まで全部。1000点でもいいからアガリトップという手順をくんでくれよ、進めてくれよと言った上で当てました。今それができるか分からないけど、披露したことはあります。それぐらいのパフォーマンスを見せないと、ボクの言うこと聞かないんで。

 ――本当だったんですね!? そんなの見せられると、この人の言うことは聞かなきゃと思いますよ

 多井 麻雀って自称日本一が3万人、5万人いるんです。でもそういう競技だからこそ広まっていると思うんで。魅力的なんですよ、麻雀って。どんなに偉い人でも、どんなにお金持ちでも負けちゃうし、真剣になっちゃうんですよ。これだけ中毒性があって、これだけ広まってるということは、打って楽しい、魅力があるということじゃないですか。「打って楽しい」のだったら「見て楽しい」も可能だと思っています。「見て楽しいプロ」を目指すという意識をもっと持たなきゃいけないんですよ。ボクだけは常に持って、感情は全部解放しています。

 ――これまで麻雀プロは感情を出さずに打つ人が多かったので、多井選手の感情あふれる試合は目を引きます

 多井 いいじゃないですか。アガったらうれしいし、振り込んだら悔しい。すべてを解放して、喜びも悲しみも苦しい時も出しちゃった方がいいと思ってる。別にポーカーフェースのプロがいてもいいんですけど、全部ポーカーフェースじゃつまんないし、全部多井じゃうるさいし、いろんな人がいてもいいと思いますね。 (来週に続く)


 おおい・たかはる 1972年3月17日、東京都生まれ。血液型=B。麻雀プロ団体・RMU代表。「最強最速」をキャッチフレーズに掲げる。Mリーグでは渋谷ABEMASにドラフト1巡目で指名され、2018シーズンでは個人スコア1位でMVPを獲得。4着回避率も3位で、シーズン終盤では4連勝を含む11連続連対を果たした。2019シーズンも2年連続ファイナル進出に貢献。最新著書は「必勝!麻雀実戦対局問題集」。