エースの座へ――。広島・森下暢仁投手(24)がプロ3年目の今季、さらなる飛躍を目指す。昨季は8勝7敗、防御率2・98で2年連続の2桁勝利を逃したものの、ローテの中心として活躍。東京五輪では侍ジャパンの一員として金メダル獲得にも貢献した。一昨年の新人王が胸に期すものは何なのか。本紙の新春インタビューで「野球」から「プライベート」までを語った。

 ――昨季はどんな1年だった

 森下 良くも悪くも両方経験できたシーズンでした。やっぱりゲームを作るというところでは5回以上は5回以上、6回以上、常に毎試合投げることができたというのは本当に先発として良かった点かなと思います。

 ――成績は

 森下 8勝7敗ですけど、勝てる試合もありました。やっぱり自力で勝てる試合を落としてしまっている部分もある。そうやって自分で勝ち切れる試合で勝てる試合をもっと増やしたい。点を取ってもらっている中で逆転されないように、同点に追いつかれないようにゼロでしっかり抑えられるように、緊迫した試合で勝ち切れるようにしたいなと思いました。

 ――8月17日の中日戦(バンテリン)から10月3日のヤクルト戦(マツダ)まで8戦未勝利が続いた

 森下 8試合ありましたが、自分の中で苦しかったのは3試合。苦しかったというか、そういう納得できない球が多かったなというか、構えたところに投げ切れなかったなというか、得点圏で全部の走者をかえしてしまったり、まあそういうことをやってしまいながら…。ただ、8試合の中でも6試合以降は納得いくピッチングだったり、つかめてきたというのはあったので、そこは良かったのかなと思います。

 ―3試合は9月7日の中日戦(マツダ)と9月14日の中日戦(バンテリン)、9月26日のDeNA戦(横浜)か

 森下 そうですね。やっぱり中日戦が一番印象深いですね。まあナゴヤドーム(バンテリン)での試合のほうが満塁で打たれたり、押し出しだったり…。ピンチを作ってから踏ん張り切れず、ここぞという球がしっかり投げ切れなかった。

 ――8戦未勝利の時期を振り返って、どこに問題があったか

 森下 技術だと思います。どんな時でもある程度、まとまって球を投げれないといけないなと思いましたし、ピンチの時に投げられる球が少なく、自信をもって投げられる球種がなかった。その何試合かで感じましたね。

 ――「2年目のジンクス」は脳裏をよぎった

 森下 いや、その中でも新型コロナ(ウイルス感染の濃厚接触者と判定されたこと)があって24試合ぐらいしか投げられなかったんですけど、ある程度、クオリティースタート(先発で6回以上を自責点3以内)もしっかりできていますし、イニングも規定よりある程度投げられていたので。そこは全然、気にしていなかったですね。

 ――今季の目標

 森下 タイトルは絶対どれか…一番、防御率で取れたらいいなと自分の中では思っているんですけど。やっぱり勝率も、勝ち切れなかった試合を勝ち切れるような試合にしていきたいという気持ちはあります。

 ――先発投手として求めるものは安定感か

 森下 先発をやっている以上はゲームを作るのが必要。任される試合が1週間に1回なので、できるだけ長いイニングを投げて、後ろの投手に負担をかけないような感じでやりたいなと思っています。

 ――後ろの投手と言えば栗林と仲がいい。彼の存在は

 森下 もう誰もが思うように安心感があると思いますし、昨年はあまり栗林さんにつなぐ投球をしていないので、今年はしっかり抑えていけるような投球をしたいなと思っています。

 ――記録をどんどん更新していく栗林に刺激は受けたか

 森下 塗り替えるのは、なかなかできないことだと思う。すごいですよね。

 ――チームは3年連続Bクラスと低迷している

 森下 昨年は新型コロナ(ウイルス感染がチーム内に広がった)という…交流戦で響いている部分がだいぶあったと思う。そうですね…。勝ちたいですね。やっぱり。

 ――それを踏まえて今年はどういう年に

 森下 優勝争いしていたら楽しいんだろうなと思うので。それぐらいできるように自分も活躍しなければいけないなと思います。昨年はいろいろ経験できたと思うので、同じようなことをしないように、できなかったことを今年はしっかりできるように、チームに貢献できたらいいなと思っています。

【後編へつづく】