新庄フィーバーもどこ吹く風だ。ソフトバンクの球団フロントが、球界の話題を総ざらいしそうな日本ハム・新庄剛志監督(49)の誕生にも意に介さずで静かな闘志を燃やしている。

 球団関係者の一人は「今回の藤本監督の就任は『質実剛健』を取ったホークスらしい選択だと自負していますからね。今、球団として目指すべき方向性に合致している、これ以上の人選はない。話題の面で新庄監督に持っていかれても、うちはそこで勝負していないですから気にしません。勝っていけるようにしないといけないですけどね」と涼しい表情だ。

 パ・リーグでは長期政権だった2球団で監督が交代。さすがに新監督の話題性となると新庄ハムに完敗だ。これまでのソフトバンクは王監督から秋山監督、工藤監督と名球会の全国的なスターを指揮官にしてきた中で、今回は二軍監督からの昇格で藤本博史監督(57)に白羽の矢を立てた。藤本監督も福岡で人気の高い往年のホークス戦士だが、就任会見も新庄監督の発表と同日で重なり、全国ニュースでは食われてしまった。

 もっとも、チームは世代交代の過渡期を迎えている。選手育成に定評があり選手の信望も厚い藤本監督に託したことは、名より実を取った選択だ。別の関係者も「4位になってやるべきことがはっきりした。藤本監督がベストな人選なのは間違いない。うまく行くことばかりではないかもしれないけど、そのことを証明するためにも球団が一丸となって支えていかないといけない」と力強く話した。

 キャンプ、シーズンと新庄劇場が球界を席巻することは間違いない。一方の藤本ホークスは足下を見据えながら王座奪回を目指していく。