引退・松坂大輔 誹謗中傷で心もボロボロだった…逆境続いても「沈黙」貫いた理由

2021年10月20日 05時15分

西口コーチ(左)に花束を渡された西武・松坂(東スポWeb)
西口コーチ(左)に花束を渡された西武・松坂(東スポWeb)

〝平成の怪物〟がついにユニホームを脱いだ。西武の松坂大輔投手(41)が19日の日本ハム戦(メットライフ)に先発登板。横浜高の後輩・近藤に四球を与え、引退試合を終えた。万全ではない状態で最後の力を振り絞った投球は最速118キロ。全盛期には程遠く、まさにボロボロになってマウンドを降りた。その一方で、これまで松坂本人は決して口にしなかったが、誹謗中傷などで今後のことも考えられないほど精神面でも極限まで追い込まれていたという。「最速118キロ」の隠された真相に迫る。


 松坂は引退会見で、これまで公に語ることのなかった「家族への思い」を語った。

「妻と結婚してもらう時も批判の声だったり、たたかれることもたくさんあると思うけど、自分が守っていくからと言って結婚してもらったんですけど、半分以上それができなくて本当に申し訳なかったと思います。妻は関係ないところでたたかれたりすることもあって、本当に大変だったと思います。そんなに気持ちの強い人ではなかったので迷惑をかけたと思いますし、その中でここまでサポートしてくれて本当に感謝したい」

 3人の子供たちに対しても「感謝と言ってしまえば簡単なんですけど、そんな簡単なものではなかった。いい思いをさせてあげられたかもしれないですけど、家族は家族なりに我慢というかストレスもあったと思いますし…。本当に長い間我慢してもらったなと思います」と謝罪した。

 そんな思いの裏側にあったのは、松坂が何より大切にしてきた家族を批判から守り切れなかったこと。日本球界に復帰した2015年以降は故障とリハビリに明け暮れ、ソフトバンク、中日、西武の7年間でわずか登板14試合(61回2/3)、6勝5敗、防御率5・11の数字しか残せなかった。

 インターネット上にはいつしか、松坂に対する誹謗中傷があふれるようになった。受け取る給料に見合う働きができなかった以上、自身への批判は仕方がない。

 ただ、松坂がニュースになるたびに、人格を否定するような書き込みや、家族への批判がコメント欄に集中することが通常化した。これに対し、自らメディアに発信したり、自身のSNSで説明するといった「反論手段」をあえて持たなかった松坂は、その都度〝炎上の嵐〟が過ぎ去るのをただ耐え忍ぶしかなかった。

 近い関係者は「それはもう近くで見ている人間までつらくなるほど。ただ、遠くボストンからその書き込みを見て心を痛めている3人の子供や家族を守るためには、そうするしかなかった」と明かし、こう続けた。「それが根も葉もない間違った情報にもとづくものだったとしても、松坂が何か言ってしまえば火に油を注ぐだけ。本人が何も言わなくても、すでに(ネットでは)袋だたきに遭っているわけですから」

 そんな松坂の今後はまずは心と体の十分な休養が最優先される。近い関係者も「今は心身ともにボロボロな状態。そこを考えられる状況にはない。しばらくは家族とゆっくりした時間を過ごすために、そっとしておいてあげたい」と語っている。

 当面、グラブとボールを置いた松坂の願いは「最近、家の庭で野菜を育てたりしているので、そういうところをみんなで楽しんでやっていけたらと思いますね」と、家族との時間を充実させること。第二の人生のスタートはまず、誰からも注目されることなく家族とゆっくりした時間を過ごすこと、普通のお父さんに戻ることのようだ。

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