阪神が21日の中日戦(バンテリン)に3―2で快勝。同点の9回に木浪聖也内野手(27)が決勝犠飛を放ち、2位・ヤクルトとのゲーム差1・5を死守した。今後も一戦必勝態勢が続きそうな中、先発・秋山拓巳(30)も5回無失点と好投。現在、リーグトップタイの10勝と先発としてチームに貢献を続ける男は、シーズン大詰めやCSなども見据えた〝ジョーカー〟としての役割も浮上しそうだ。 


 結果的に競り勝った。2―2の9回、中日守護神のR・マルティネスから、途中出場の島田が内野安打と盗塁で無死二塁の好機を演出。続くサンズの進塁打で一死三塁とし、木浪が左翼への犠飛を放ち、島田が生還した。矢野監督も「見事やった。相手の抑え(投手)でね」と伏兵たちの奮闘を称賛した。

 先発・秋山は5回無失点。2―0で折り返したが、救援陣が追いつかれ、勝ち星はつかなかった。それだけに指揮官は「アキには申し訳なかった」と懺悔も口をついた。

 そんな秋山は10月、矢野監督にとっては〝万能〟とも言える頼れる存在となりそうだ。今季、2試合連続で先発の責任投球回である5回を投げ切れなかったことは一度もなく、加えて、与四球は約110回を投げ、わずか20。抜群の制球力は計算の立つ投手の必須要素だけに「こういう投手が一人いるだけで、チームがどれだけ助かるか」と他球団のスコアラーもうらやむ存在。「残り試合が両手で数えられる段階に入ったら、中継ぎもあるかもよ。先発がダメというのではなく。長い回を投げられるし、本当に一戦必勝みたいな残り試合になったら、第2先発的なことも考えないといけないから」と予測する。

 実際、このまま平日カードの先発として、シーズンを終わる確率よりも〝動く〟可能性は大いにある。来月11日以降の日程では秋山が最も得意としている対広島戦が週末を中心に計4試合。今季5勝、防御率1・49のお得意さまへ当てる戦略も考えられ、その後のCSも「短期決戦は展開次第。『1つも落とせない』となれば、長い回を任せられる第2先発は必要で、そういう意味でも秋山は適任。四球で走者をため、大量失点するような投球をしない」と〝ジョーカー〟として控えることのできる存在という。

 実際に前半戦最終戦の7月14日のDeNA戦では中継ぎ登板し、2回無失点とその適性も披露。この日は「次の登板をまたしっかり頑張りたい」と今季11勝目は次回にお預けとなったが、10月のシーズン最終盤やその後のポストシーズンでは、さらにチームにとって欠くことできない存在となる。