日本ハム・栗山英樹監督(59)が17日、日本ハム東京支社を訪れ畑佳秀オーナー(62)にシーズン終了の報告を行った。その席で正式に来季続投を要請され受諾。自身が持つ球団の連続最長在任期間を更新する10年目のシーズンを指揮することが決まった。

 しかし、昨年は優勝した西武に13ゲーム差(借金8)、今季はソフトバンクに20ゲーム差(借金9)もの大差をつけられ、いずれもBクラス5位に低迷しているだけに、現状維持ともいえる続投に多くの変化は望めないだろう。

 栗山監督は「もちろん(長期政権の)メリットもあるしデメリットもある。もう一回丸裸になって一からやろうという思いしかない。(来季は)全てをさらけ出す。情は全て捨てて向かっていくつもり」と不退転の決意を語ったが、圧倒的な上位との戦力差がある中で日本ハムが浮上するイメージはやはり沸いてこない。

 というのも、2004年の札幌移転以降、日本ハム球団がその理念としてきた「スカウティングと育成」が停滞、いや機能不全を起こし今や全く特徴のない球団へと没落しているからだ。

 栗山監督が就任した2012年以降の9年間を見てもチーム作りの根幹を成すドラフトで獲得した戦力でレギュラー、主力に定着したといえるのはわずか数えるほど。野球を個人競技に変えてしまった大谷(12年1位)は別格として一定の水準に達したといえるのは渡辺諒(13年1位)、有原(14年1位)、加藤(15年2位)、玉井(16年8位)程度で、清宮(17年1位)の伸び悩みに象徴されるように野手はスカスカ。

 必然的に西川、中田、近藤を中心としたレギュラー陣の中堅化、ベテラン化が進行し世代交代のメドが見えてこないのが実情だ。

 その間、上位球団は西武が森、山川(13年1位、2位)、外崎(14年3位)、源田(16年3位)の現主力を確保し投手も守護神・増田(12年1位)をはじめ高橋光(14年1位)、平井(16年5位)、平良(17年4位)、松本航(18年1位)、森脇(18年6位)、宮川(19年1位)と着実に戦力補強。

 ソフトバンクも東浜(12年1位)、守護神・森(13年2位)、松本(14年1位)、高橋礼(17年2位)が主力となり、球団の特徴でもある育成部門から石川(13年育成1位)、周東(17年育成2位)が輩出され将来の主力候補としてリチャード(17年育成3位)が出番を待っている状況にある。

 この2チームだけを見ても、もはや日本ハムの理念とする「スカウティングと育成」は特定球団の専売特許ではなく、チーム作りにおける12球団統一の前提条件。それがあった上でFA、トレード、外国人補強、育成の拡充などで、どんな特徴を出せるかがライバルとの差別化を図る分岐点となるのだが、今の日本ハムは球団の「理念」とするその前提条件ですら上位球団の後塵を拝し、成果を挙げられていない。

 長期政権による組織の硬直化という弊害の前に、勝てる組織の前提となる補強、育成部門低迷の問題の洗い出し、改善がなければ日本ハムのV奪回は難しいだろう。