阪神の“泣きどころ”が思わぬ評価を受けている。3か月遅れの開幕で今季は各球団とも11月上旬までほぼ毎週6試合をこなす過密日程となる。申し合わせにより連戦は最大13日までも、雨天中止などで予備日が埋まれば阪神はそれを複数回こなさなければならなくなるほど。加えて開幕後もこれまで同様、コロナ感染防止に神経をとがらせていなければならない事情もある。

 それだけに「セオリーは逆でも今年に限ればむしろ、このほうがいい」と言われているのが猛虎のセンターラインの布陣だ。特に捕手、遊撃と防御の指揮系統をつかさどるポジション。巨人で昨年全試合出場の坂本勇人内野手と大城卓三捕手のレギュラー陣2人のコロナ感染が相次いだことを受け、セの関係者はこう指摘する。

「今年は主力がコロナで急にいなくなるケースも覚悟しながら野球をやらないといけないね。誰が感染するか分からない中で一番痛いのは捕手とか、遊撃のセンターライン。チームの野球自体も変わってしまう可能性さえある」

 阪神の捕手は3年連続で100試合以上出場の梅野隆太郎(29)が中心だが、矢野燿大監督(51)の構想では打力のある原口文仁(28)や5年目の坂本誠志郎(26)も相性などに応じて先発させる3人制が基本。遊撃は2年目の木浪聖也(26)と北條史也(25)が争っており、優勝を狙うチームに不可欠と言われるセンターラインが固定できない状況だ。

「今年は不動のレギュラーより、実力が似た選手の併用のほうがいいかもよ。もちろん争うレベルが、そこそこ高いのが条件にはなるけど」(前出関係者)。阪神の弱点がコロナ禍の今季に限ってはむしろ“強み”に変わる可能性があるという。

 近年は「どんぐりの――」ともやゆされた虎のセンターラインだが、超過密日程の今季は“併用”ゆえの効力が期待できそうだ。