夏の甲子園中止で混迷しそうなのが、巨人のドラフト方針だ。チーム編成権も握る原辰徳監督(61)とフロントの思惑、そこに現場からの声も相まって、今後の行方に注目が集まっている。

 原監督は球団を通じ動画を配信。「率直に非常に残念であると。ただ球児たちに言いたいのはまだまだ人生も野球もスタートしたばかり。すべて途上にあることを心に刻んでもらいたい」と、高校球児の無念に寄り添った。

 全国大会の中止は各スカウトにとって痛手だが、巨人にとってはことさら大きなものとなりそう。「球団の顔」となる選手が欲しいフロント陣は、新人獲得の条件として、実力だけではなく「全国区」「甲子園のスター」も要素に加えている。

 昨年のドラフトで、指名濃厚といわれた大船渡・佐々木朗ではなく、星稜・奥川を1位指名(抽選でハズレ)したのも、甲子園の大舞台で発揮した実力に加え、全国区となったそのスター性によるところが大きかった。

 そんな大規模なショーケースが今年は中止となり、しかも巨人のスカウト部門は一新されたばかり。新人選手の相次ぐ故障や伸び悩みに業を煮やした原監督は、4月に当時のスカウト部長を“更迭”しており、水野巡回投手コーチと高田ファーム・ディレクターがスカウト兼任に。ただ、スカウト部長は空位のままだ。

 これらを危惧するかのように、以前ナインからはこんな声が上がっていた。「スター性は実力と結果がついていけば勝手に備わるもの。スターだから獲る考え方は危険ですよ。(岡本)和真は高卒から4年で育て上げチームの顔になりつつあるけど、一番大事なのはそういうサイクルが続いていくこと。今、和真の『次』で期待する高卒の若手います? これがもし途絶えたら、チームとしてヤバいですよ」

 原監督はプロを目指す球児に向け“高校生版トライアウト”の可能性も示唆しているが…。果たしてどうなるか。