ロッテ鳥谷 大歓迎ムードの裏で“火薬庫”となる可能性を指摘する声

2020年03月11日 19時30分

球場入りする鳥谷。左は松本尚樹球団本部長

 ついに、いや予定通りと言うべきか。ロッテが10日に昨年限りで阪神を退団した鳥谷敬内野手(38)の獲得を発表し、11日朝にZOZOマリンスタジアムで記者会見が行われた。背番号は「00」、推定年俸は1600万円。注目された大ベテランの去就がようやく決着したわけだが、今季はどういった形での起用となるのか。歓迎ムードの中、井口監督しだいでは“火薬庫”となる可能性を指摘する声も上がった。

 本紙既報通り、ロッテは昨年末から水面下で鳥谷と接触。今年に入ってからも交渉は継続していた。だが、若手主体のチームにかじを切った球団の方針と出場機会を望む鳥谷側の思惑が合致せず、契約合意が3月上旬という異例の時期にずれ込んだ。

 それでも「相思相愛」と言われたロッテと鳥谷の関係。球団内には一様に歓迎ムードが漂った。松本尚樹球団本部長は「キャンプ、練習試合、オープン戦と戦って内野の補強、厚みを増したいと考えていた。それに実績のある選手。うちは若い選手が多いので、鳥谷選手に若手を引っ張っていってほしい。この2点です」と獲得理由を説明した。

 そのうえで「内野もすべて守れますし、今年39歳になりますが体も締まっている。まだまだ若い選手に負けないぐらいできる。そういう姿勢を見せてほしい」とベテランの奮起に期待を寄せると、現場を預かる井口監督も「球団の方から内野手の補強ということで獲っていただいた。実績のある選手ですし、戦力として考えている」とニンマリ。「若いころから一緒に自主トレをやってきた。若手を引っ張っていけるし、彼の練習量は現役選手の中でもおそらく1番だと思う。そういう意味でも、いいものを後輩に引き継いでほしい」と早くも鳥谷加入によるチームへの波及効果を強調した。

 こうした話を聞く限り、ロッテと鳥谷の前途は洋々に見えるが…。いいことばかりではない。鳥谷の加入によりチーム内のパワーバランスが崩れる恐れがあるからだ。

 周知の通り、ロッテは昨オフから大型補強を敢行。同時に若手育成にも力を注いできた。特に内野手に関してはその傾向が顕著で、井口監督を含めた首脳陣は昨季イースタン打撃3部門(19本塁打、82打点、116安打)でトップだった安田をレアードとともにサードに。ショートにはルーキーの福田光やプロ3年目の藤岡、同5年目の平沢を競わせながらチームの底上げを図る予定だった。

 だが、鳥谷の加入で内野の厚みこそ増すものの、若手の出場機会は減少する可能性がある。しかも、鳥谷は井口監督が現役時代から公私にわたってかわいがってきた弟分だ。ロッテとの契約も単年とはいえ、仮に結果も出ていないのに一軍帯同が続けば…。周囲から“温情起用”を疑われ、チーム内から不満の声が上がりかねない。実際、一部の関係者からは「監督は自分の好きな野球スタイルの選手を優先して起用する傾向があるので…」など、不安を指摘する声も複数聞こえており、今後は井口監督自身の手腕、選手起用も問われることになる。

 オフの大型補強に加え、今回の大物獲得でさらに注目が高まるロッテ。公式戦開幕は新型コロナウイルスの影響で延期を余儀なくされたとはいえ、チームはいろいろな意味で見逃せない日々が続く。