帰還フィーバー 西武・松坂に感じたキング・カズの器

2020年02月03日 16時30分

松坂のサイン会には長蛇の列ができた

【楊枝秀基のワッショイ!!スポーツ見聞録】あの日のキング・カズと何となく重なった。宮崎・南郷キャンプで2日の練習後に急きょサイン会を行った松坂の姿に過去の光景がフラッシュバックした。約300人、100メートルもの行列に30分以上、ファンの要望に丁寧に応え、ペンを走らせる姿は、アスリートのかがみのように映った。

 練習後、宿舎へ移動するバスに乗り込む前だった。球団職員と相談し、待ち時間を最大限活用。全員には書ききれず後ろ髪を引かれるように車上の人となったが、松坂の気持ちはレオ党に伝わったに違いない。

 日曜日とあって前日の2500人を上回る3500人のファンが集結。松坂が動くとファンも大移動するフィーバーぶりだ。そんな状況に加え、ファンとの接触で右肩を痛めた昨年の経緯を球団も考慮した。施設間を移動する際に車を利用する方針を採用した結果、ファンとの触れ合いが少なくなる分を埋め合わせした形だ。

 松坂は「(施設間の)移動中でもよかったけど、人も多いし、ファンの方も多かったので、ああいう形の方が安全と思って」と意図を説明した。選手を守りたい球団の立場、できるだけサインをしてあげたい自分の気持ちとのバランスを自分の意思で調整してみせた。

 新人だった1999年の高知・春野キャンプでの「松坂フィーバー」は現在の比ではなかった。まだ若く、自分の判断でファンサービスもままならなかった。そんな時、隣接する施設でキャンプしていた当時京都に在籍していたカズことFW三浦知良(52=現J1横浜FC)は、丁寧に多くのファンにサインを書き続けていた。

 海外リーグを経験し、日本に復帰したスター。競技や年代は違えど共通点はある。ファンの夢、思いの詰まった長蛇の列。「全員に書けなくて申し訳なかったです」と言う松坂のファンへの思いやりに、レジェンドの器を感じずにはいられなかった。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。