高校屈指のスラッガーを封じ込めた。第94回選抜高校野球大会(甲子園)は23日に5日目を迎え、市和歌山が花巻東(岩手)を5―4で下して2年連続の初戦突破。最速149キロを誇るエース右腕・米田天翼投手(3年)が完投し、相手の高校通算56本塁打で今大会注目の佐々木麟太郎内野手(2年)には1死球を与えたものの2三振を奪うなど4打数無安打に抑えた。

 立ち上がりは変化球の制球に苦しみながらもピンチの場面でギアを上げた。初回無死一、二塁でいきなり3番の佐々木を迎えたが、キレのある直球で2球続けて空を切らせ、追い込んでから最後もインハイへのストレートで空振り三振。二死から先制打を浴びるも慌てることなく最少失点で切り抜けた。

 その後は徐々に持ち味のテンポと制球力を取り戻した。3回先頭で再び佐々木と対峙し、2打席連続の空振り三振を奪うと波に乗った。3回以降、8回までは連打を許さず3塁を踏ませなかった。最終回こそ佐々木に死球を与え、4本の長短打も浴びて3点を奪われて猛追されたが、気迫で踏ん張った。

 佐々木との5回二死での3度目の対決で三飛に打ち取った内角ストレートは、この日最速となる145キロを計測。試合後の米田は「一発の長打があるバッター。近め近めの速いボールを見せつけていくというのを試合前から(対策を)立てていた。1打席目でインコースのストレートで(ファウルで)詰まらせることができたのは、佐々木選手に対して一番の手応えだった」と振り返った。

 試合前には同校OBで昨年までのエース・小園健太(DeNA)から連絡をもらい、激励を受けたことで「楽しんでいこうと思った」という。

 終わってみれば佐々木を看板に強打を誇る花巻東を相手に9回153球、9安打4失点7奪三振の力投。半田真一監督(41)も米田について「去年、甲子園のマウンドを経験していることが彼にとって大きい。勝負どころで粘ってくれた。そこは彼の成長だと思う」と目を細めていた。