日本ハムの斎藤佑樹投手(30)が18日、アスレチックスとのプレシーズンゲーム(東京ドーム)に先発し、2回を投げて1失点と奮投。開幕ローテ入りに向け、アピールに成功した。ここまで続いていた無安打&無失点投球は途絶えたものの、引き続き好調はキープ。その原動力の一つとして、今回来日しているレジェンドの存在があった。過去の確執疑惑の真相も含め、斎藤が本紙に明かした思いとは――。

 終始、丁寧な投球が光った。初回、一死から四球で走者を許すも、後続を断ち切り無失点スタート。2回にソロを被弾し、メジャーの洗礼を浴びたが、それでも崩れない。テンポは崩さずに31球を投げ、結局許した安打は本塁打の1本のみだった。

 試合後、斎藤は「本塁打を打たれたのは悔しい」としつつも「メジャーリーガー相手に投げるのはいい経験になりました。野球選手として楽しいゲームでした」と充実した表情でコメント。栗山監督も「ずっとゼロで抑えてきてるし(前回登板の)甲子園でも、今日もいい意味でそういう雰囲気を感じられた。このまま意識せずにいってほしい」とエールを送った。

 今回のプレシーズンゲームでは、イチローらが所属するマリナーズも同日、同会場で巨人との試合を実施。日米球界のレジェンドの凱旋ということもあり、イチロー見たさに多くのファンが球場へ駆けつけたが、憧れを抱いていたのは、この日投げた斎藤も同じだった。

 一見関わりのなさそうな2人には、過去に接点があった。斎藤は以前、イチローが所属している事務所「バウ企画」に所属。現在は退所して球団にマネジメントを一任しているが、退所当時は一部で「イチローとの確執があったのでは」との疑惑も指摘されていた。

 そんな疑惑の真相について、改めて本紙が斎藤に直撃すると「そういうわけではないですよ」と笑いながら否定。退所の理由については「すべての管理を球団がしてくれるというお話になったので、それを機にお願いすることになったんです」と説明し、円満退社を強調した。

 確執どころか、斎藤の中にはイチローに対する強い憧れがあった。前事務所在籍時、イチローらと食事をする機会があったという。その時のイチローの印象を「すごい明るくて、すごい優しくて、すごいノリがいい明るい方なんですよ。どんな質問にも答えてくれて。話も面白いんです!」と目を輝かせて語った。

 一ファンでもある斎藤にとって、イチローは雲の上の存在。だからこそ、ひそかに抱いている夢があるという。

「どの立場で物を言っているんだ、って言われるかもしれませんが…。一番として、イチローさんはずっと見てきた選手の方ですし、同じ野球選手として、同じフィールドで、同じグラウンドでプレーするのを夢見て、というのもあるんです」

 まさかのメジャー挑戦表明か!?

 だが、斎藤は身を乗り出した本紙記者を「さすがにそれはないですよ」と笑いながら制すると、ファンの間でも待望されている「イチロー日本球界復帰」の可能性について触れながらこう続けた。

「自分が一軍で活躍を続けることで、もしかしたらそういったチャンスがあるかもしれない。だから一軍に居続けられるようにしたいんです」と、日本でイチローと対戦するという胸の内の“イチロー愛”を熱弁した。

 今回は日本ハムとマリナーズが戦う機会はなかったが…。同じ日に同じ球場でプレーできたことが、この日の斎藤の力になったことには違いない。