東京都は11日、新型コロナウイルスの感染者が新たに4200人報告されたと発表した。重症者は197人と過去最多を更新した。30代を含む男性2人の死亡も確認された。都内は7月12日から緊急事態宣言期間に入り、繁華街の人出はやや減少しているが、感染力が強いインド由来の「デルタ株」が急速に拡大し、感染者数の増加に歯止めがかかっていない。そんな中、対コロナの切り札として期待されているワクチンだが、接種した翌日にコロナを発症するという不可解なケースがあった。

 厚生労働省に新型コロナウイルス感染症対策を助言する専門家組織は11日、会合を開き、医療提供体制が首都圏を中心に非常に厳しく「もはや災害時の状況に近い局面を迎えている」との分析をまとめた。11日は全国で新規感染者が1万5813人となり、過去最多を更新するなど、ほぼ全ての地域で急速に増加。東京の4回目の緊急事態宣言発令から12日で1か月となったが、状況が好転する見通しは立っていない。

 西浦博・京都大教授は今後の東京都の感染状況を予測。感染者1人からうつる人数を示す実効再生産数が半減しても、今月中旬には入院患者数が最大確保病床の約6000床に到達し、下旬には、重症者数が確保している約400床の半数近くまで達し、医療体制が逼迫するとした。

 国立感染症研究所の分析結果によると、今月上旬時点で、感染力が強いデルタ株が占める割合は、関東地方で90%以上、関西地方で約80%と推定。従来株からほぼ置き換わり、現在の感染拡大の大きな要因になっているとした。

 そんなコロナ禍で、ある広告代理店営業マンはこのような体験を明かした。

「先月、初めてモデルナのワクチンを接種したんです。その翌日に40度、2日目も40度の熱が下がらず、発熱センターに電話をしたら、『ワクチンの副反応だからしばらく様子を見て』と言われました。ところが一向に熱は下がらず、PCR検査を受けることになったが、土日を挟んだため結果が出たのは数日後で陽性。せきが止まらず、1週間ほど40度の高熱が続いた」

 地元診療所の判断で救急搬送され、無事、地域連携拠点病院に入院することができたという。

「すぐにレムデシビルが投与されました。運ばれた時はパルスオキシメーターの数値が90を切り、酸素マスクが着けられました。気が付いたら1週間近くが経過していた。95キロ近い体重も12キロ近くも落ちていました。当初は自力で起き上がるのも困難だったくらいです」(同)

 その後は幸いにも自宅療養に切り替わり、体調は戻ってきているという。

 今回の件は不思議だ。ワクチン接種後、免疫がつくまでには1~2週間かかる。だから、接種完了後に免疫を獲得したのに、コロナに感染・発症する「ブレークスルー感染」ではない。

 ワクチンの副反応だったのか。それとも、ワクチンを打つ直前にコロナに感染し、打ったタイミングで発症したのか。

 この営業マンが医師に「なぜワクチンを接種してこうなったのか?」と質問したところ、医師は「正直、分からないというのが本音。体調不良やいろいろな悪条件が重なったとしか言いようがない。あるいはもともと発症していなかっただけで、コロナに感染していたところにワクチンを打ったので劇症化した可能性もゼロではないだろう」と答えた。つまり、原因は分からないというわけだ。

 ウイルスは2週間ごとに1か所程度のペースで変異する。インド由来の「デルタ株」は感染力が従来株よりも格段に強く、ブレークスルー感染の大きな原因といわれている。また、新たにペルー由来とされる「ラムダ株」が確認され、ワクチンの効きが悪い恐れが指摘されている。コロナとの戦いは続きそうだ。