10月30日、米アトランタで茂木敏充外相とラブロフ外相が約30分間会談した。
茂木氏はサハリン州で拘束された北海道新聞記者の即時解放を強く求めた。厳しい対立が続く両国の間に、外相同士が直接要求を伝える接点ができた意味は大きい。
ただし、会談の実現を関係改善の兆しと見なすのは早計だ。タス通信によると、ロシア外務省は会談が日本側の要請で行われたと強調。本格的な対話の再開には、日本が対ロシアへの「非友好的な方針」を放棄する必要があるとの立場を繰り返した。会うことには応じても、従来の対日姿勢を変えたわけではない。ロシア外務省の会談発表は、記者拘束問題への具体的な回答を示していない。
一方、インタファクス通信は日本外務省の発表を引用し、日本側が解放を強く要求したと伝えた。日本の要求がロシアの主要通信社を通じて報じられた点は興味深い。しかし、これを解放への「青信号」と受け取ってはいけない。日本側の要求を報道することと、ロシア政府が要求を受け入れることは別だ。ラブロフ氏が日本側の重視する問題に耳を傾ける姿勢を示したとしても、それだけで記者の釈放に向けて前進したとはいえない。同様に、ロシアが日本の政策変更を求めているからといって、制裁解除を記者解放の交換条件にしたと決めつける必要もない。
茂木氏はルビオ米国務長官にも邦人保護への協力を求めた。ただ、日本の協力要請と、米国によるロシアへの具体的な働きかけは区別すべきだ。身柄を拘束しているのはロシア当局であり、解放に向けた日ロ間の直接の意思疎通が欠かせない。米国の協力は、それを補うものに過ぎない。
継続的な領事面会を通じ記者の健康と安全を確認し、弁護人との接触を含む公正な刑事手続きを確保するために日本大使館が全力を尽くす必要がある。今後、ロシア連邦保安局(FSB)は日本人記者のスパイ行為を具体的に主張すると思われるが、容疑に関するロシア当局の主張を、立証済みの事実として扱ってはならない。
同時に日本政府関係者が「でっち上げだ」と感情的に反発し、ロシア側を不必要に刺激することも避けなくてはならない。目標は一日も早く日本人記者を帰国させることに置かなくてはならない。対話の再開は、出発点に過ぎない。外交は、対立する相手との間でこそ必要になる。同胞の解放という成果へつなげる粘り強さが政府に問われている。











