GMOインターネットグループ傘下の「お名前.com デスクトップクラウド」が不正アクセスを受け、身代金を要求された問題で、熊谷正寿会長兼社長(63)が2日に記者会見を開いた。「儲かるという言葉は使ったことはない」「命の砂時計」「笑顔にしてから死ぬつもり」など〝熊谷節〟の連続にネット上では大盛り上がりを見せている。

 GMOが提供するサービス「お名前.com デスクトップクラウド」がハッカーに侵入され、2万6739件の顧客情報が流出。ハッカー側の100万ドル(約1億5700万円)の身代金要求をGMOは拒否し、顧客1人の情報が公開された。警察やホワイトハッカーらはハッカーを追跡しているが、まだ特定には至っていないとみられる。

 騒動後、初めて会見を開いた熊谷氏は「事業として一度も儲かる、儲けるという言葉を使ったことがない、お客さまのために情報を守れと言い続けてまいりました」と涙ぐんだかと思えば、人生訓でもある〝命の砂時計〟を説明しだした。

「1日は1440分。寝ている時間を7・5時間とすれば1日990分。990分のカウントダウンの〝命の砂時計〟を何に捧げているのかが人生。私はインターネットとグループに捧げている」と力説し、同じような質問を受けた際には「同じ回答をすると皆さまの命の砂時計を無駄遣いする」と打ち返した。

 会見中には登壇していなかった担当者が急きょステージ横から回答した際、ジャケットのボタンが閉まっていなかったことに熊谷氏は「ちゃんとボタンを閉めてください。おわびをしているのにボタン開けてどうするんだ」と注意すれば、内部から脆弱性の指摘があったのではないかとの質問に「何回も同じ指摘があって、対応しない担当者がいたら即時、私が解雇します」とイラ立ち、パワハラ気質が垣間見える場面もあった。

 熊谷氏は時価総額約1兆5000億円、上場会社12社、子会社153社を抱えるGMOグループを一代で築き上げた。

「IT業界では有名人ですが、同じネット黎明期から活動してきた堀江貴文氏や孫正義氏らと異なり、裏方に徹してきたこともあって、大きなスキャンダルはなく、今回の会見で初めてそのキャラクターを知った人も多かったのではないか。業界内でも熊谷氏のクセは有名だが、『ここまで強かったか』と改めて感じたとの声がもっぱら」(IT関係者)

 約3時間半に及んだ会見後、ネット上には「ポエムの独演会のようだった」「謝罪会見で号泣した野々村竜太郎県議を思い出した。〝令和の野々村〟」と批判が相次ぎ、過去の新聞コラムのタイトルが「熊谷正寿の儲ける!儲かる!インターネット」だったことが掘り起こされ、炎上した。

 一方で、「命の砂時計の考え方は参考にしたい」「『子会社』を『グループ会社』と呼び、『乾杯』の掛け声が『完敗』に聞こえないように『完勝』に置き換えるGMO用語が気になる」と〝熊谷ワールド〟に引き込まれそうになっている人もいたようだ。

 会見では「熊谷氏の存在自体がGMOにとってのリスク」との質問も飛び、熊谷氏は舌禍騒動を起こしたXの投稿を一定期間、自粛するとしたが、辞任の意思を問われると「悪意に汚染されているインターネットをこのまま責任という名において死ねません。人生をかけて、多くの方の笑顔に資するツールにしてから死なせてください」と否定した。

〝熊谷劇場〟はまだまだ続きそうだ。