企業や団体が何者かに不正アクセスされ、個人情報の漏洩が止まらない。流出した情報はダークウェブなどで売買されるケースが多いが、あまりに膨大な量が出回り、投げ売りどころか中身によっては二束三文になっているというのだ。

 連日、不正アクセスを受けて、顧客情報の漏えいを発表する企業や団体が後を絶たない。4日はビックカメラグループがメールマガジン配信業務を委託している会社からメールアドレスなど約1490万件が流出した可能性を発表した。前日にはレジャー予約サイト運営のアソビューが会員情報約1582万件、ノジマが会員情報約700万件の流出を明らかにした。省庁も狙われ、外務省は約3600件、デジタル庁は約1万3000件の氏名やメールアドレスが流出した可能性があるという。

 これにはAIの進化によってサイバー攻撃が高度化したという背景がある。サイバーセキュリティー調査会社によれば、流出した情報は今年1~10月に延べ3億3000万件に上り、2024年の約100倍になるという。流出したのは氏名やID、パスワードが主だが、カーシェアリングサービス「タイムズカー」は約146万件の運転免許証画像データ、全日本空輸は約1700人のパスポート番号や国籍情報、GMOインターネットグループは仮想サーバー2万6739件のPC内に保存されていた情報を抜き取られた可能性がある。

「流出した情報は主に匿名性が高いダークウェブでまとめて売りに出されます。氏名、ID、メールアドレス、パスワード、電話番号、住所、銀行口座、クレジットカード情報、パスポート情報などが取引されていますが、今は供給過多になってしまっている。IDとパスワードのセットはバナナのたたき売り状態で、1件あたり数円~数十円です。名前やメールアドレスはもう値段がつきません。今、価値があるのはクレジットカードやパスポート情報ぐらい」(IT関係者)

 詐欺業者やトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)、名簿業者などが情報を不正に入手しているとみられるが、ここ最近の不正アクセスラッシュを受け、もはやIDとパスワード程度の情報では見向きもされていないというのだ。

 タイムズカーは運転免許証の画像が流出した顧客に3000円、GMOは顧客一律に5000円のお見舞金を発表し、「安すぎる」と非難を浴びたが、金額だけを見れば、ダークウェブ上で売買されている価格よりも〝高値〟ともいえる。

 流出した情報をもとにすでに不審な電話やメールが届いているケースも増えている。もはや、どこから漏れたかも分からない状況で、警察庁は「メール内のリンクを安易にクリックしない。ID、パスワードを使い回さない。警察庁推奨アプリをインストールする」などと呼びかけており、今一度、個人情報管理のチェックが必要だ。