【岡田紗佳のもう一度見たい麻雀Mリーグ】10月20日第1試合 南3局1本場=阿久津翔太(サ)、黒沢咲(雷)、石井一馬(J)鈴木たろう(ド)

 KADOKAWAサクラナイツの岡田紗佳です。黒沢選手と言えば、面前高打点というイメージを持つ人は多いでしょう。それを体現した一局があったのですが、ただ高打点を目指したのではなく、緻密な計算がありました。

 ラス目で迎えた南3局1本場、トップ目の阿久津選手とは1万9500点差、3着目の一馬選手とも1万4500点差とちょっと離されています。オーラスに向けて加点したいところ、早くも2巡目に阿久津選手からリーチが入りました。対する黒沢選手も3巡目にピンフの36萬待ちでテンパイしましたが、1萬を切って外しました。

 タンヤオも三色も見える手の上に巡目も早く、阿久津選手のリーチが入っていなければほぼ確実にテンパイを外します。ただ麻雀界では「ダブルリーチより怖い2巡目リーチ」とよく言われるように、単純にテンパイしたダブリーとは違って、巡目が早いのにリーチしてくるというのは相当材料が固まっている証拠です。しかも阿久津選手はトップ目ということから無謀なリーチではなく、好形だったり打点がある可能性は高いのです。

 これらのことを考えると、思い切ってリーチを選ぶ人も多いと思います。黒沢選手がそうしなかったのは漠然と高打点を見たのではなく、点棒状況を踏まえてのテクニカルな選択です。仮にこの局でリーチ・ピンフの2000点をアガっても、上3人が競った状態でオーラスを迎えることになり、スピード勝負になってしまいます。それならばラス前で打点を作ったアガリをして、より良い状態でオーラスを迎えたいと考えたのでしょう。あと1万点多く点棒を持っていたら、リーチしていたと思います。

 黒沢選手の狙い通り、次巡に5索を持ってきて36索でテンパイしました。5萬を切ると高目3索で三色・一盃口ですが、ピンフは付きません。2萬を切れば三色はなくなりますがピンフ・一盃口となり、1翻分の差があります。ただ放銃率は2萬の方が低く、黒沢選手は2萬切りで追いかけリーチ。阿久津選手から3索をロンし、リーチ・タンヤオ・ピンフ・一盃口の満貫のアガリとなりました。仮に5萬を切りリーチでも同じ点数でした。

 8300点+リーチ棒1本の加点は大きく、オーラスではラス目とはいえトップと7100点差となりました。5巡目にはトップが見えるリーチを打つも、一馬選手に放銃して試合を終えました。

 結果はラスだったとはいえ、ラス前の1萬切りは素晴らしい一打でした。次の試合ではオーラスで赤5索をツモってさらに裏ドラ2枚も乗せる黒沢選手らしい麻雀で3着からトップに駆け上がりました。雷電の上昇ムードを作っているのも、黒沢選手らしい麻雀を見せてくれているからだと思います。