佐賀県唐津市のJR唐津駅で奇跡の生還ともいえる事故が起きた。

 26日午前4時10分ごろ、男性が携帯電話で「今、線路にいます。左足のヒザから下を切断している。救急車をお願いします」と自分で119番した。駆け付けた地元消防の隊員が、回送列車のそばで、足を切断された状態で倒れている男性を見つけた。男性は佐賀市の病院に搬送されたが、意識はあったという。

 唐津署によると、回送列車(6両編成)は25日午後10時半ごろ、唐津駅に到着してから動いておらず、男性が足を切断してからなんと約6時間経過していた。男性は事故を「覚えていない」と話しており、通報までの数時間、意識を失っていたとみられる。

 男性は佐賀市に住む50代の公務員。25日夜は唐津市内の飲食店で同僚と飲酒し、午後8時半ごろ唐津駅に到着した。佐賀行きの最終列車は午後9時40分ごろに出発したが乗車していない。唐津署は、最終列車が出た後、ホームから転落したとみている。

 唐津市消防本部の幹部は「意識が回復した後に自分の携帯電話で通報したようですが、現場にはそれほど多くの出血の跡はなかった。6時間もたっているのに、よく助かったと驚いてます」と話す。

 救急医療に詳しい医師は「列車事故では、列車の重みで血管がつぶれ、出血が減ることは起こり得る。下手に動くと多量に出血することがあるので、意識を失って動かなかったことも良かった」と話している。

 回送列車の運転手は「まったく気付かなかった」。誰にも気付かれず意識を失った男性は気の毒だが、出血が少なかったことや、午前5時39分の回送電車の出発前に意識が戻ったことなど奇跡が重なったというしかない。