小兵の剛腕の真価は、速球だけではなかった。西武・平良海馬投手(26)が29日のオリックス戦(ベルーナ)に先発し、7回95球、4安打1失点の好投で自己最多の12勝目(5敗)を挙げた。チームは2―1で勝ち、3位・日本ハムとの差を1ゲームに広げ、2位確定へのマジックを「1」とした。

 インフルエンザに感染し、一時は感染症特例で出場選手登録を抹消されていたため登板は15日の楽天戦以来、2週間ぶり。それでもブランクを感じさせず「シーズンを通して、その数字で終われたっていうのは良かったと思います」と振り返り、3年ぶりに規定投球回へ到達。防御率1・36で初の最優秀防御率を事実上確定させた。

 173センチ、99キロ。背丈こそないが、ユニホームの上からでも分かる筋骨隆々の肉体は「見せる」ためではなく、高いパフォーマンスを発揮するために鍛え上げたものだ。米国から視察に訪れたア・リーグ球団のMLBスカウトが、馬力だけではない平良のポテンシャルに改めて感銘を受けたのが9月1日のロッテ戦。西川の強烈な投手ライナーにグラブを差し出し、大きくのけ反りながらも好捕した場面だ。

 前出のMLBスカウトは「普通はあの打球、捕球できても、尻もちをついたり、倒れたりする。だけど、彼は身体を弓なりのスタイルにして捕球後、地面に手をつくこともなく、身体全体で踏んばって直立の体勢に戻した。あの体で160キロをコンスタントに投げられるのは、筋量や強さだけでなく、フィギュアスケーターのようなしなやかさも兼ね備えているから。あのピッチャーライナーで改めて納得させられた」と、獅子の右腕の身体能力に「◎」をつけたことを明かす。

 平良は今オフにもポスティングシステム(入札制度)で米球界挑戦に踏み切る可能性がある。レギュラーシーズン最後の先発となったこの日は、ジャイアンツやレンジャーズなど複数球団が視察。その実力には、すでに多くのMLBスカウト関係者が太鼓判を押す。

 ポスティング移籍には球団の承認が必要だが、仮に今オフ、市場に出れば争奪戦は必至。本人の意志を踏まえた西武球団サイドの〝決断〟に今秋、注目が集まる。